Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は第89回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【小峯崇嗣】
ナリタジュンヤ “Horizon”
愛知出身、現在は東京を拠点に活動するシンガー・ソングライター、ナリタジュンヤが最新シングル“Horizon”を12月4日にリリース。帰省中に彼は、「海外線を走る電車の車窓から、水平線に沈む夕焼けを見ていた時に〈時間〉や〈お金〉など数字ばかりに捕らわれ、こんなに綺麗な夕焼けすらも見落としてしまっていた」と気付き、その着想からこの曲を制作したと〈6つの質問〉の記事で語っていました。聴き手の心の底に沁みわたり、そっと包み込む温かい歌声が一曲をぜひ堪能してください。
MIZUKI “Circle (feat. MIO)”
東京出身のSSWであるMIZUKIのセカンド・シングル。自身の葛藤や欲望を思うままに等身大で歌い上げたラブソングで、固定観念を取り払い、素直な気持ちでお互いを好きになって、幸せな世界になってほしいとの想いが込められているそうです。気品あふれる優美なその歌声を聴くと、次世代のシンガーとして活躍する素晴らしい実力を持っていると感じます。
水いらず “ほとんど、空”
東京を中心に活動する4人組のインディー・ロック・バンド、水入らずの最新シングルをご紹介。レイドバックしたスロウなギター・サウンドが木霊し、素朴で耽美的な歌声が絡み合う心地良い一曲です。12月19日(土)にファースト・アルバム『ほとんど、空』をリリースする予定ですので、そちらをお見逃しなく。
Faded old city “Pierce”
奈良県を拠点に活動するバンドのFaded old cityが、2017年に店舗限定でリリースしていた『CONTRAST』から、収録曲“Pierce”をデジタル配信しました。前半のミニマルな静けさのあるサウンドから、後半の迫力のあるドラムとギターの演奏に圧倒される一曲です。Faded old cityには以前、TOWER DOORSスタッフが出演しているラジオ番組「sensor」で生インタビューを行いました。アーカイヴを残しているので、ぜひこちらもチェックしてください。
【田中亮太】
DJ No Guarantee『20201203@somewhere』
ハウス・ミュージックのコレクティヴ、CYKの一員でもあるDJ No Guaranteeさんが昨晩公開したばかりのミックス。彼はいま現場でのDJを一時お休みしているそうなんですが、この推進力に溢れた、ドリンクカウンターからフロアへと小走りしたくなるようなセットを聴いていると〈早く復活してほしいなー〉と思っちゃいます。ヒプノティックでオルナタティヴ。ちなみに、NO Guaranteeさんには今年〈ベースメント・ジャックス(Basement Jaxx)最高の1曲は?〉記事に協力いただきました!
WATER DAWGS “BLOOM”
編集部宛てに届いた(件名なし)のメールを開いたら、おもしろい音楽に出会えた。年に1回くらいそういうことがあります。すべてはずれの年もあります。今年は、この関東のリバーサイド・タウンで共同生活をしているというラップ・トリオ、かな。
羊文学 “mother”
今年聴いたなかでもっともギター・サウンドに惚れ惚れした楽曲。誰も寄せ付けない孤高さが尊い。とんでもないことになってそうなメジャー初作『POWERS』は明日12月9日(水)にリリース。
【酒井優考】
Kroi “Page”
もう日本の音楽は全然面白くないなーと思ってた矢先に出会ったKroi。くるり先輩言うところの〈絶望の果てに希望を
ヒトリエ “curved edge”
希望についてもう一つ。何かが続いているというのは当たり前のように思えるけど、本当はそれだけで希望なんだと思います。
【天野龍太郎】
Gotch feat. 唾奇 “The End Of The Days”
Gotchのニュー・アルバム『Lives By The Sea』に収録されている、ラッパーの唾奇との共演曲。まず〈Gotch × 唾奇〉という組み合わせが、いいなと思いました。〈金は神じゃないぜ/福沢で横っ面 叩くのダメ〉というGotchさんのラインもぐっとくる。肩ひじ張らずにやっていこうぜ、っていう気分になります。『Lives By The Sea』の配信リンクはこちら。
Zoomgals feat. 大門弥生 “GALS”
快進撃を続けるZoomgalsのニュー・シングル。これまででいちばんギャル感が強いビデオに〈おお……〉と気圧されます。田島ハルコさんやMarukidoはもはやスケバン。全員最高、全ラインがパンチライン。しかも、ビデオには社会学者の宮台真司が出演(個人的にはちょっと〈?〉ですが)。配信リンクはこちら。
Kuro “Ayakashi”
快作『We Are the Sun!』をリリースしたTAMTAMのKuroが、2019年のソロ・アルバム『JUST SAYING HI』に続く単独シングルをリリース。伸びやかな歌も、ダンスホール/レゲトン/アフロビーツ調のビートも、スぺ―シーなサウンドもすばらしくって、何度も聴きたくなる。瀬戸内海の小豆島〈迷路のまち ナイトツーリズム〉とコラボレーションしたビデオは、衣装なども含めて最高。私はKuroちゃんのナチュラルな生き方になんとなく感化されているところがあります。配信リンクはこちら。
butaji “acception”
傑作『告白』を2018年にリリースし、解放的で感動的なシングル『中央線』を2019年に発表したbutaji。彼から2020年初の新曲が届けられました。これがまた、めちゃくちゃすばらしい。〈あなたを愛することに/私の人生をベットしよう〉というストレートに愛を歌ったリリックにも、〈acception=受容〉というタイトルにも、どこか苦悩が滲んでいて、それでもそこには決意がある。切実で哀切なエモーションが込められています。Bandcampで販売中。
田中麻記子 × 三輪二郎 “口紅”
久しぶりのくちべに
— Makiko Tanaka (@MAKIKOtanaka) December 2, 2020
Music @jiromiwa
マスクの内側についたカラフルな抽象画をみるために女の子たちは厚化粧をするようになった pic.twitter.com/ukg8RGkuJf
フランス在住の画家・田中麻記子さんと三輪二郎さんのコラボレーション作品(?)。たった11秒しかないのですが、とってもいい。〈マスクの内側についたカラフルな抽象画をみるために女の子たちは厚化粧をするようになった〉という田中さんのキャプションも刺激的。これはぜひ、正式にリリースしてほしいです。
【鈴木英之介】
uminecosounds “遡上”
12月4日にリリースされたシングル『鮭と犬』の収録曲。遡上というからには、こちらは鮭サイドということだろう。朴訥とした声から漏れる、こぼれ落ちそうなくらいに豊かな歌心。そしてシューゲイザーからの影響を濃厚に感じさせる、ギターの音がとにかく素晴らしい! ドラムスによる導入部の雰囲気もあいまって、マイブラの“Only Shallow”を思い出してしまった。犬サイドを飾るもう一つの収録曲“犬の遠吠え”も、フォーキーな歌の隙間にセンスの良いギター・フレーズが入ってくる名曲なので、“遡上”と併せてぜひ一聴を。
大石裕美 “葡萄と山吹”
静かな迫力とは、このことを言うのか。悠然としていつつも重いピアノのタッチに圧倒されながら、そんなことを実感した。静岡・浜松出身ながら、イギリスを中心にヨーロッパで最初に注目を集めた逆輸入サイケ・バンド、QUJAKU。そのベーシストであるHiromiが、本名である大石裕美名義で12月5日にリリースしたEP『葡萄と山吹』の表題曲がこれだ。ここでの大石はベースではなくピアノを弾いているが、そもそも彼女は5歳からピアノに触れている筋金入りのピアノ奏者だという。バンドで激しい音を鳴らす彼女とはまったく異なる一面が垣間見られる、興味深い作品だ。
明日の叙景 “青い果実”
国内外で活躍するバンド、明日の叙景が12月4日にリリースしたセカンドEP『すべてか弱い願い』からの一曲。数本のギターとドラムスが作り出す音の壁はあらゆるものを遮蔽するかのように分厚く迫力に満ちている一方で、ヴォーカルのミックスは異様なまでに小さく、総体として面白いバランスの音像となっている。ジャンル上、ブラック・メタルしてカテゴライズされているようだが、個人的な印象としてはメタルというよりも、むしろシューゲイザーのような感覚で聴けるなと感じた。