2009年に『Years Of Refusal』を発表して以来、レーベル契約がなかったモリッシー。自主で……なんてことはプライドが許すわけもなく(!?)、ようやく名門ハーヴェストと契約を交わし、U2やストロークスを手掛けたジョー・チッカレリをプロデューサーに招いて、パリ録音の新作をリリースした。この屈辱的な5年間で作り溜めたであろう曲の数々はクォリティーが高く、前作に比べるとアルバムを通して美しいメロディーをじっくり聴かせ、スパニッシュなフレイヴァーも良いスパイスに。とはいえ、バンド・サウンドはヘヴィーかつロッキッシュ、モリッシーのパフォーマンスは不屈の闘志と歌う喜びに満ちている。挑発的なタイトルも含め、堂々たる帰還を告げるに相応しい充実作だ。