Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は第98回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyプレイリスト

 


【天野龍太郎】

新しい学校のリーダーズ a.k.a ATARASHII GAKKO! feat. Warren Hue “Freaks”

新しい学校のリーダーズがあの〈88rising〉に所属して世界デビューする、というニュースを聞いたときは本当に驚きましたし、いまだに〈なんで?〉と不思議に思っています。いやはやでも、めちゃくちゃおもしろい超展開。〈ATARASHII GAKKO!〉というグローバル・ネームを手にした4人は、1月に“NAINAINAI”をリリース。それに続くこのニュー・シングル“Freaks”は米LAのハウス・プロデューサーであるクロード・ヴォンストローク(Claude VonStroke)がプロデュースしていて、一言で言うとめちゃくちゃ踊れます。ビッグ・ビート感のあるダンス・ナンバーにジャンプ・インしたのは、ジャカルタのラッパーのウォーレン・ヒュー。ATARASHII GAKKO!から目が離せません。

 

【鈴木英之介】

サニーデイ・サービス “ぼくらが光っていられない夜に (Live)”

サニーデイ・サービスの公式YouTubeチャンネルにおいて先週立て続けにアップされた〈サニーデイ・サービスTOUR 2020〉のライブ音源の中でも、個人的に特にグッと来た一曲。曽我部恵一の地元・香川での公演映像のようだ。いい意味でラフな録音と装飾の削ぎ落されたシンプルなアレンジにより、昨年作『いいね!』の三曲目を飾る原曲にはあまりなかったガレージ感がもたらされており、新鮮だ。ちなみに本編の前には、バンドが“心に雲を持つ少年”を演奏するリハーサル風景が少し挿入されており、観ていてなんだか得をした気分になる。

 

CARTHIEFSCHOOL “兎角大宝 (tokakutaihou)”

2016年に北海道・札幌で結成された3人組バンド、CARTHIEFSCHOOL。これは、彼らが2月24日にリリースしたセルフ・タイトル・アルバム収録曲のライブ映像だ。ブラック・カントリー・ニュー・ロードブラック・ミディなど、南ロンドンから近年続々と出てきているポスト・パンク・リヴァイヴァル勢と呼応するような、ジャムっぽいラフさと高度に洗練された音楽性の共存した演奏がとびきりクールである。そしてグルーヴの上を泳ぐ田中室崎のヴォーカルも、念仏を思わせる独特の呪術性を湛えており、クセになる。

 

maco marets “Samuine (feat. ggoyle)”

福岡発のヒップホップ・アーティストによるニュー・アルバム『WSIV: Lost in November』からの一曲。このメロウなトラックはggoyleの手になるもので、イエロー・デイズなどを彷彿させる深くリヴァーブのかかった揺らめくようなギターの音が基調をなしており、maco maretsの内省的なフロウと相まって心地良く響く。そしてこの浮遊感あふれる音像の創出には、ミキシングとマスタリングを手掛けたMimeのドラマー・TiMTも大きく貢献していることだろう。深夜、人々が寝静まった頃にこっそり聴きたい一曲。

 

【小峯崇嗣】

TOSH feat. EijiHarrison “Magic Feeling” 

沖縄を拠点に活動するシンガー・ソングライター、TOSHEijiHarrisonをフィーチャリングに迎えたニュー・シングル“Magic Feeling”をリリース。80年代のディスコやファンク・サウンドを取り入れた懐かしさを感じるサウンド。そこに彼の甘美で美しい歌声が乗り、アクセントになっている一曲に仕上がっています。曲を出していくごとに洗練されていくTOSHの今後の作品がとても楽しみです。

 

NORTH “蜥蜴”

大坂を拠点に2019年から活動を開始したSSW、NORTHが新曲“蜥蜴”をリリース。アコースティック・サウンドと温かみのあるメロディーをベースに、トロピカルで爽やかなポップ・サウンドがクセになる一曲です。春が始まる予感がするいまの季節にピッタリです。

 

xiexie “alien”

N.Y&BICYCLESの幸田大和(ヴォーカル/ギター)とall about paradise等のメンバーとしても活躍する飛田興(ドラムス)が、Meari(ヴォーカル/ギター)と関輝之(ベース)に声を掛けて結成されたバンド、xiexie。そんな彼らのデビュー・ミニ・アルバム『XIEXIE』からご紹介します。ワイルド・ナッシング(Wild Nothing)などの2010年代のインディーを想起させるサウンド。そこに優美で甘い歌声が絡み合ったドリーミーで爽快な一曲です。