ロック・ミュージシャン道を貫いた松田優作の貴重音源が初高音質化!
石原裕次郎と美空ひばり。この昭和の二大スターは、ともに52歳で亡くなった。今より日本人の平均寿命が短かった時代とはいえ、早過ぎる。ところが、松田優作は、わずか40歳でこの世に別れを告げた。しかも彼は、ハリウッド・デビュー作の「ブラック・レイン」(89年)での演技が高く評価され、これから世界に羽ばたこうとしていた矢先に病に倒れた。89年11月6日のことだ。
松田優作は俳優であり、歌手でもあった。『YUSAKU MATSUDA 1978-1987 MEMORIAL EDITION』は、90年2月21日にリリースされたベスト・アルバムのリマスタリング盤だ。通常盤はCDのみ。ただし、『D.F.Nuance Band』(87年)の未発表テイクを3曲収録したCDと、追悼ライヴの模様を収録したDVDが追加された初回限定盤も同時発売される。DVDには、ベスト・アルバムの発売日にビクター青山スタジオにおいて関係者のみで行なわれた、いわば〈別れの宴〉が記録されている。原田芳雄やジョー山中、桑名正博など、すでに故人になってしまった人たちのライヴに加えて、黒田征太郎によるライヴ・ペインティングのパフォーマンスの模様も収められた本作で初公開の貴重な映像だ。
初期の松田優作が原田芳雄に心酔していたことは、わりと広く知られている。また、テレビ・ドラマ「太陽にほえろ!」で、萩原健一の後任として起用されたのが、松田優作だった。演じること、そして歌うことによってロック・ミュージシャン的スタイルを貫いたという点では、松田優作は、原田芳雄と萩原健一の流れを汲んでいた。ただし、80年代前半を歌手としての松田優作と併走したのは、EXを率いていた梅林茂。しかも時代が時代だけに、前記の2人よりニューウェイヴ~デヴィッド・ボウイ的な方向に向かっていたことが、『YUSAKU MATSUDA 1978-1987 MEMORIAL EDITION』で確認できる。それにしても享年40とは、あまりにも早過ぎる。