前作の葛藤を経ての新作は実に開放的だ。プロデューサーの人選も同様で、壮麗なストリングスと共に力強い歌声を放つ“僕のままで”とスケール感のある歌唱で未来を見つめる“Colorless”を百田留衣が、このうえなくスタイリッシュなR&B“BABY CAKES”をT.Kuraが手掛けるなど、よりメインストリームへと歩みを進めたスタイルが印象的。一方で、初顔合わせとなるエモーショナル・オレンジズの二人や馴染みのCELSIOR COUPE、mabanua、Shingo.S、grooveman Spotらとはゴスペル調の温かみのあるソウルからスムースなハウス、ソフトなラテン・トラップといった時流のサウンドも展開。通底するのは風通しの良さで、心地良いグルーヴに身を任せているうちにふと心が軽くなる。時代性にも合うデトックス盤。

 


豪華なプロデューサーを迎え、多彩なサウンドで聴かせるフル・アルバム『COLORLESS』。タイトル曲のバラード“Colorless”は、葛藤を抱きつつも、〈無色〉の自分を信じる強さが心に刺さる一曲。〈時には綺麗じゃなくても/混ざった色になっても/心だけは 真っさらだ〉。ラスサビにかけて圧倒的なエネルギーを放ち、メッセージ性のある言葉が優しく背中を押してくれるようだ。華やかで多幸感に溢れた“Love Is Life”に、グルーヴに身を浸らせられる“Ups & Downs feat.mabanua”、色気と切なさが滲む“Don't Lie”“Bed”など、〈COLORLESS〉とは言えどの楽曲も異なる色合いを放っていながら、どの楽曲もするりと耳に馴染んでいく。無色でピュアな自分を忘れないでいるから、きっとそこに描かれる色が鮮やかに美しく映えるのだろう。