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インタビュー

向井太一が語る新作『COLORLESS』 自身のコアと改めて向き合うことで未来へ羽ばたいたキャリアの転換点

悩みや葛藤を受け入れたうえで、明日へ、未来へ――。ヒットメイカーたちとのコラボも含め、さまざまな方向から原点へと回帰し、自身を解放することで確認した〈己のコアにあるもの〉

前作を受けての原点回帰

 2019年の前作アルバム『SAVAGE』で心のなかに渦巻く嫉妬や羨望、苦悩や焦燥感と向き合い、それをありのままに表現した向井太一。目まぐるしく流行が移り変わるR&Bやクラブ・ミュージックにおけるオントレンドなサウンドを甘美な歌声と共に提示してきた彼が、内に秘めていた生々しい感情を糧に作り上げた作品は、アーティストとして前に進むために必要不可欠なものだった。

 「『SAVAGE』はダウナーなマインドを吐き出すように作ったアルバムで、自分のなかで作品コンセプトやサウンド自体も挑戦的な作品だったんです。だから、その後のツアーで多くの人がその内容を肯定的に受け取ってくれたこと、そこで得られた達成感は本当に大きくて、弱い自分、苦しい自分を表現することは自分の音楽活動に必要なことだったんだなって。そして、翌2020年にリリースした配信EP『Supplement』は『SAVAGE』からの流れを受け継いで、悩みや葛藤を歌ったんですけど、さらに今回の『COLORLESS』はそうした気持ちを捨てるのではなく、自分のなかで受け入れつつ、未来や明日へ向かって進んでいこうという方向性になっている点で、今までにない作品になっていると思います」。

 4枚目のフル・アルバム『COLORLESS』は、前作における果敢な挑戦によって確信と説得力を得た向井太一が音楽家としての原点に立ち返った作品だ。

 「『SAVAGE』ではダウナーな歌詞と切り離して、もう一回アンビエントなアプローチをやりたいなと思って、サウンドはサウンドで追求していたし、自分の性格上、いい意味での裏切りを求めるところがあったんですけど、今回はコロナ下で考えることがたくさんあって、メッセージや気持ちを伝えることを優先して制作に入ったので、その思いをより増幅するようなサウンドにするべく、今まで以上に王道な曲は王道に、よりストレートなアプローチになっていると思います」。

 本作における真っ直ぐで力強い表現を象徴するのが、agehaspringsの百田留衣と初めてタッグを組んだオープニング・ナンバー“僕のままで”と、アルバムの核となるエンディング・ナンバー“Colorless”。YUKIや中島美嘉、JUJUらを手掛けるヒットメイカーとの共作曲は、ストリングスの広がりと共に感情を解き放ちながら、ゴスペルのような昂揚感をもたらすものだ。

 「百田さんとのコラボレーションは、デビュー時には考えられなかった組み合わせですよね。外に向いたメッセージ、その世界観を深めてくれる方にお願いしたくて、誰がいいだろうと考えていたら、スタッフから百田さんを提案されて。自分でもどうなるか想像がつかないところにワクワクしたので、お願いしました。“僕のままで”の〈愛、希望、夢〉という一節は百田さんのデモに入っていた言葉で、今の自分の心境にしっくりくるなって。“Colorless”は最初にコンセプトをお伝えして制作に臨んだんですけど、サウンドによって歌詞の世界観をビルドアップしていただいて、お願いして良かったなと思いました」。

 また、原点回帰という意味では、2000年代以降のJ-R&Bシーンを支えてきたプロデューサー、T.Kura、Shingo.Sとそれぞれ組んだ“BABY CAKES”“Sorry Not Sorry”は、向井太一の音楽的なルーツに立ち返り、未来に向かっていく2曲だ。

 「T.Kuraさんが手掛けた作品は、安室奈美恵さん、Crystal Kayさんはもちろん、T.Kuraさんご自身のプロジェクト、GIANT SWINGのものを含め、小学生の頃からずっと聴いてきたので、今回ご一緒できてめちゃくちゃ嬉しかったです。僕はシンガーに徹したかったということもあって、歌詞もmichicoさんにお願いして。楽曲的には2000年代初期のJ-R&Bの要素を含みつつ、バランスを取って、フロウに今の要素を加えたものを作ろうということになり、スタジオでアイデアを話しながら作業を進めていったんですけど、リズムとかフロウのハメ方、コーラスの重ね方も自分のアプローチとはまったく違っていて、刺激になりましたし、大いに勉強になりましたね。方や、『PURE』(2018年)に収録された“ポートマン”以来のコラボレーションとなるShingo.Sさんとは、プライヴェートでもご一緒したり、その後も関わりが多くて、リラックスして制作を進められたんですけど、僕が中学生の時、初めて人前で歌ったのが、Shingo.Sさんが手掛けたHI-Dさんの“Be With You”だったりしていて。今回は僕のルーツに繋がるお二人とご一緒することができて、光栄でした」。

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