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〈ちがう〉ことがスタート、そこからどうするか

――“赤裸々”は、BREIMENならではのソウル、リズム&ブルースだと感じました。

「あの曲は俺の周りのことを歌ってるんですけど、でもけっこう普遍的なことだと思ってて。六畳半の部屋から世界平和を願ってる、みたいな感じの曲ですね。結局、六畳半の部屋でもいざこざって起こっちゃうわけで、それより広い場所で起こるいざこざにも、本質的には通じるものがあると思います。日常生活でも、〈なんでこの人はこれができないんだろう?〉とか、俺にもそう思うことってありますし」

『Play time isn’t over』収録曲“赤裸々”

――他人と何かを一緒に作っていたら、そういうことって絶対ありますもんね。

「〈ちがう〉ってことがスタートだから、そこからどうしていくか、なんですよね。俺のコミュニティーに、どうしてもそりが合わない2人がいて、何回も喧嘩になってたんです。その2人とウチに住んでるメンバーと、なぜか俺のお母さんとで、朝の6時ぐらいまで〈言いたいことがあったら言おうよ〉とみんなでオープンに語り合ったことがあって。“赤裸々”は、それから一週間以内に出来た曲なんです」

――なるほどね。

「普通、そりが合わない人がいたら、離れていけばいいだけなんです。でも、俺のコミュニティーは、なんか学校みたいなんですよね。帰りの会で〈誰々くんと誰々くんが喧嘩しました〉って話す、みたいな(笑)。

結局、その問題はいまだに解決してないんですけど、この歳になって腹を割って話したことにすごく意味を感じて。当人どうしも〈ちがうんだな〉ってことが、お互いにわかったんです。そこから相手のことを愛せることもありますし」

――他人を排除するのは簡単だけど、排除したら先がない。その先の付き合い方を、ひとつ失うってことですからね。いま自分たちの社会が直面してる問題と通じることだと思います。

「本当にそうですね。それが、世界平和のいちばんミクロなとこなのかなって。

実は俺の実家って、いつの時代も見知らぬ他人が一人は住んでる家なんです」

――へー!

「俺が小学生だった頃は、若手のノイズ・ミュージシャンのお兄さんが住んでました。おばあちゃんの時代からそうで、職を失った外国人家族を住まわせたりしてたらしいんですね。だから、俺も行くとこを失ったやつをウチに呼んじゃう。俺が基本的に〈とりあえず誰でも受け入れるよ〉という姿勢なのは、それを受け継いでるからなんですよね。

BREIMENの音楽に関して言えば、たとえば〈『ズンダンズクダン』の8ビートをやりたい〉という話になったら、〈俺らはそういうバンドじゃねえだろ〉とは言わないんです。〈俺らが8ビートをやるなら、どういうのがおもしろいかな〉って考えるんですね」

――すごくナチュラルなヒューマニズムですね。〈2020年はいい年だった〉と言うのは気まずい風潮もあるなかで、2020年を通して祥太くんが受けたポジティヴな影響を作品に反映させてるのは、音楽家として、バンドマンとして、すごく素敵なことだと思います。

「そもそも俺、音楽で他人を変えたいとか、そういう考えはないんです。でも、俺がこのアルバムを通して提示した友だちとのちっちゃな遊びは、たぶん誰でもできるものだと思います。それは、〈こういうことに気づけて、俺らはなんとかやれてます〉って提示してるだけなんですけど」

 

このアルバムを人生において作れてよかった

――音楽を楽しむ在り方、音楽と生きている在り方を提示しているということですよね。このアルバムを作ったことで、祥太くんのなかで、BREIMENでやりたいことのアイデアがまた生まれているのかなと思うのですが。

「実は、“Play time isn‘t over”が、自分の作った曲史上かなりすごい曲で……」

――うん。すごく大きな曲だと思う。

「その壁があって、まだ作れてないんですよ。

俺の主観では、このアルバムを人生において作れてよかったなって思えてるんです。たとえこのアルバムが数枚しか売れなかったとしても悔いがないぐらい、すごく納得のいくものが出来た。こんなに納得のいくものって、なかなか人生で作れないと思ってて。これ以上ないものを作れたから〈次、どうしようかな〉と、ありえないくらいにプレッシャーを感じてて、まだノー・アイデアなんです」

――記念碑的なものが出来たってことですよね。だからこそ今後のBREIMENが、ますます楽しみになったのも事実です。

「たぶん、もうちょっとしたら、また新しいものが出てくると思います。アルバムのミックスをしてる最中にTempalayのリハがあって、綾斗と〈やっぱウンコ出すまでは、メシ食っても次のは出ねえよな〉って話をして(笑)。だから、やっと出せます。これから次のウンコが、また出来るんだと思います」

 


RELEASE INFORMATION

BREIMEN 『Play time isn’t over』 SPACE SHOWER(2021)

リリース日:2021年5月12日(水)
品番:PECF-3257
価格:2,750円(税込)
配信リンク:https://ssm.lnk.to/Ptio_AL

TRACKLIST
1. aaA
2. utage
3. ナイトクルージング
4. 赤裸々
5. Play time isn’t over
6. 色眼鏡
7. ツモリツモルラバー
8. Noise
9. Zzz

 

LIVE INFORMATION
「PLAY TIME」
〜“Play time isn’t over” RELEASE ONEMAN〜

2021年6月3日(木)東京・渋谷 CLUB QUATTRO ※SOLD OUT
開場/開演:18:30/19:00
2021年6月24日(水)大阪・梅田 シャングリラ
開場/開演:17:30/18:30
一般発売:2021年5月20日(木)10:00
https://brei.men/

 

INFORMATION
赤裸々SESSIOONe
2021年5月13日(木)小笹大輔(Official髭男dism Gt.)× サトウカツシロ(BREIMEN Gt.)
2021年5月16日(日)MELRAW × ジョージ林(BREIMEN Sax.)
2021年5月19日(水)Kan Sano × kanno so(BREIMEN Drs.)
2021年5月22日(土)Mega Shinnosuke × いけだゆうた(BREIMEN Key.)
2021年5月25日(火)小原綾斗(Tempalay Gt. & Vo.)× 高木祥太(BREIMEN Ba. & Vo.)
BREIMEN YouTubeチャンネルにて各日程21時に公開
https://www.youtube.com/channel/UCcUJKt_BprjOvaAudfGBlLw

 


PROFILE: BREIMEN
高木祥太を中心に2014年に結成され、ソウルやファンクをベースに多様なジャンルにも躊躇なく飲み込んでいくミクスチャー・ファンク・バンド。メンバー・チェンジを経て2018年7月より現体制の5人組となった。メンバー各々が数多くのアーティストのサポートを務めており、独特な歌詞の世界観と、セッションを軸としたセンスのギャップで熱烈なファンを獲得している。2020年2月にリリースされたファースト・アルバム『TITY』は、多くの著名人や業界最前線のプレイヤーからの熱い支持を得ると同時に、収録曲が数多くのストリーミング・サービスの主要プレイリストに入り、J-WAVEの〈SONAR TRAX〉やTuneCoreの〈independent AF〉に選出されるなど、いま聴くべきネクスト・ブレイク・アーティストとして注目を浴びている。