Kroiの快進撃が止まらない。前回インタビューした際にそう書いてから、その速度はさらに速まっているように感じる。サードEP『STRUCTURE DECK』のリリースと、そのリリース・ツアー〈DUEL〉の大成功。その途中には、ポニーキャニオン内IRORI Recordsからのメジャー・デビューが発表され、2021年6月にはメジャー・ファースト・アルバム『LENS』のリリースも決定。リリース・ツアー〈凹凸(おうとつ)〉の開催も決まり、バンド最大規模の全国8都市を回る。そして本日4月30日(金)にはアルバムに先駆けて、配信シングル“shift command”が発表された。
しかしそんな途轍もない勢いの最中にいるメンバーたちは、焦るでもなく臆するでもなく、変わっていなかった。さて、これからメジャーというフィールドに立つ5人はどんなアーティストになる展望を持っているのか。改めて5人に話を訊く。
祝! メジャー・デビュー
――インタビューをさせていただくのも3回目になりましたので、改めてこれまでのことも順を追って訊かせてください。昨年2020年から今年にかけて“HORN”“Page”“risk”という配信シングル3連続リリースがあり、サードEP『STRUCTURE DECK』が2021年1月にリリースされました。個人的にはあのEPはかなり素晴らしい出来に感じたのですが、周囲からの評判や手応えはどうでした?
千葉大樹「評判に関しては……良いのかな?」
内田怜央「悪いこと言う人はあんまりいないからね(笑)。悪いことはないです」
関将典「これまでのリリースに比べたら、音だけじゃなくデザインなども含めてかなり凝って作ることができたので、かなり注目していただけたというのはありますね。そういう意味では手応えはありました」
内田「コロナ禍っていうこともあるし、もともと友達が少ないっていうのもあって、自分の身近なところからの評価はあまり聞こえないんですよ。たまたま誰かに会った時にそういう話をするっていうことがないので」
関「エゴサで知るくらいだね」
――音源を送りつけて〈感想教えて!〉みたいなことは?
千葉「ないな~(笑)」
内田「できないですよ(笑)!」
関「でもさ、怜央が祥太(高木祥太/BREIMEN)と対談してて、あそこで祥太がめっちゃいいことをたくさん言ってくれてて、あれは嬉しかったね」
――あの記事も好評で。でも怜央さん、ちょっと緊張というか、恐縮してましたね。
内田「いや本当そう、大恐縮ですよ」
一同「(笑)」
内田「マジでありがたいですよ。『STRUCTURE DECK』をめちゃくちゃ聴き込んでくれて、いいところをいくつも挙げてくれて、嬉しいなって」
――これまでのインタビューと雰囲気が違ったので(笑)。
内田「やっぱり一人で出陣してる時は、何事にも気を使って接してるので。お仕事ですから」
一同「(笑)」
千葉「それ見てえ~!」
益田英知「ニコニコしてるんだろうね」
内田「一人でラジオに出る時とかはちゃんとしてるから!」
――で、その『STRUCTURE DECK』のリリース・ツアー〈DUEL〉の東京公演で、ポニーキャニオン内のIRORI Recordsからメジャー・デビューすることが発表されました。この時の反応はどうでした?
関「これはすごい反響がありましたね」
千葉「メジャー・デビューっていう言葉のインパクトがすごいんだなって改めて思いました。音楽をやっていない人からの反応も多かったし」
関「リスナーの人も、具体的にどう変わるかっていうのはそこまで分からないと思うんですけど、〈メジャーに行くんだ〉っていうのはすごいことなんだって思っていただけるようで」
――結成当初からメジャーという場に行くのは目標だったんですか?
関「そうですね。いずれは絶対行きたいと思っていましたし、いろんな会社さんからお声がけをいただいた中で、IRORI Recordsのみなさんとやって行きたいという気持ちが募り、ご一緒いただくことになりました。」
メジャーという場に立つこと
――そして3月27日に行われた〈DUEL〉の追加公演でアンコールに新曲“shift command”が披露されまして、この曲を含むメジャー・ファースト・アルバム『LENS』が6月にリリースされることと、同時に“shift command”が4月30日にメジャー初配信シングルとしてリリースされることも発表になりました。ということは、本日4月30日がメジャー・デビュー日ですね。
千葉「そっかそっかそっか」
関「そうなりますね」
――なのでメジャー・デビューまでリリースのテンポがよくて、ステップを駆け上がってる感じでいいなと思って。
関「以前と比べてライブがあまり無いので、その分制作やレコーディングに時間がかけられたっていうのもあって、コンスタントにリリースができてるっていうのが大きいですね。今後コロナが落ち着いてフェスやイベントに呼んでいただけるようになったら、また動き方も変わるかもしれないですけど」
――それまでの蓄えができていた。
関「それはあると思います」
内田「意外と時間があるんですよ」
千葉「ライブがないと、1か月の予定が半分ないみたいなね」
内田「そうそう。コロナの影響はデカくて、休みの日でも外に出ないで曲を書くので。でもそこでリリースのスピード感が上がっていっても、全然苦じゃないんですよ」
――インディーとメジャーで活動に違いは出そうですか?
関「むしろ俺らサイドは変わらないんですよね。やり方を変えない方がいいというか、スタイルを貫いた上で、レコード会社にどうサポートしていただけるかっていうことなので。だから1年前も今も、やりたいことをやらせていただいているだけで、俺ら自身は変わってないです」
千葉「でも、やっぱりやれることは増えましたね。1年前はそれぞれの家でデモを録って、貸しスタジオで合わせてたのに、今は大きなスタジオやいい機材も使わせてもらえるし。やりたいことは、より具体的に表現しやすくなったと思います」
関「そうだね。そういう選択肢は増えました」
――でも、Twitterを見ていると相変わらずポケモンカードで遊んでたり、メンバーがイジられてたり、上げちゃいけない練習動画を勝手にYouTubeに上げちゃったりとかしてて(笑)、みなさんは変わってないですよね。
一同「(大爆笑)」
関「それは違うんですよ!!」
――ステージやスケールは大きくなるし、変な話、使えるお金とかも大きくなるとは思うんですけど、メンバーのみなさんは変わってなさそうだなという気がしたので。
関「活動方針はメンバーとマネージャーとで全て考えて、その通りに行動させてもらえているので、メジャーに行くとなっても今まで通りの動きができていますね」
益田「もちろん俺らでアイデア出しとかもするんですけど、他に動いてくれる人が増えた分、やりたい活動に集中できるようになったよね」
関「そうだね。新しいコネクションができて、そこで新しいアイデアとか刺激ももらえてると思います」
――なるほど。僕は勝手に〈ただ楽器を演奏したいだけのに、メジャーに行ったらやりたくないこともやらされて、自由が減った!〉みたいになったりしないのかな、なんて悪い想像もしていて。
内田「もしかしたら、コロナじゃなかったらそういうニュアンスのこともあったのかもしれないですけど、割と時間があるので〈ちゃんと練習しよう!〉っていう感じですね。時間があるからこそ、逆に怠惰にならないように」
関「それにコロナだからこそSNSで何かしらアクションをし続けないといけないっていうのもありますね。おちゃらけたりしているのも大事なコンテンツなんですよ(笑)」
益田「無理やりやな!」
一同「(笑)」
関「だから間違ってYouTubeに動画を上げちゃって(笑)」
千葉「見せるね~、それは相当なエンターテイナーだ」
関「全部計算だから(笑)!」
千葉「ここ最近で一番盛り上がった事件だったけどね」