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届けたいものは同じ

――そんな折にニュー・シングルが完成しましたが、まず“TOUCH ME”は、昨夏の“イミテーションセンセーション”のカセットテープで密かに披露されてたものですね。

トギー「はい。そこからライヴだけで歌い続けてきて、〈いまだ!〉っていうタイミングまで温めてた曲です。ライヴで歌うたびに大切な曲だって実感するし、大切な人のことを思い浮かべながら聴ける曲だなって」

ネオ「大切な人ってみんなそれぞれいると思うんですけど、私は聴いた時に研究員(BiSファンの総称)のことがすぐ頭に浮かんで。渡辺さんの書いてくださった歌詞も内容的にいまの状況と凄く合うし、特に渡辺さんはBiSと研究員の繋がりを大切にしてくださるので、渡辺さんとBiSとの繋がりもそうですけど、そういう気持ちが詰まった素敵な曲だなって。たくさんの人に届いて、共感してもらえる曲だと思います」

モン「今回のシングルは2曲とも〈愛〉がテーマだなと思ってて。それも家族愛だったり、友情の愛だったり、恋愛もそうですし、ホントにいろんな愛に当てはまる、BiSのお客さんへの愛にも当てはまるから、聴く人によって思う相手も感情も違えば、いろんな解釈で共感できる曲だなっていうのはホントに思います」

トギー「サビが過去形というか、〈戻らない 戻せないんだな〉〈いつもそばにあなたはいたし〉とか、過去を思うような歌詞が多いなと思って。コロナ禍でライヴできなくなった頃にこの曲を貰ったので、〈戻らない 戻せないんだな〉っていう歌詞が凄く響いたんですよ。でも凄く希望のある曲なので、私たちにできるのは〈前は良かった〉とか思うんじゃなくて、この状況でどうするかっていうことだし。過去は戻せないし、やっぱりいま声出せないし、有観客でも距離は空いてるけど、それでも届けたいものは同じだし、届け続けたいなっていう気持ち。そうやって少し前向きにさせてくれた曲です」

――思い出に寄った印象もあるけど、ちゃんといまに返ってくる歌というか。

モン「はい。最初と最後の〈君の笑顔埋め尽くす夢を見たいな〉のパートは、過去じゃなくて未来を思った歌詞だなと思って。この1行も大きいと思います」

――最近のBiSはわりとそうですけど、今回は歌詞も曲調もよりストレートですね。

ネオ「特にいまはコミュニケーションを取るのが難しいじゃないですか。そういう時だからこそ、こうやってストレートに伝えてくれると刺さるし、いま凄い欲しい言葉があるなとも思います」

トギー「こういう状況だからこそ出せる曲なのかなって感じがしますね」

――“イミテーションセンセーション”と同時期の制作ってことで、レコーディングも1年ほど前だと思いますが、その際に心掛けたことなどは覚えていますか?

ネオ「力強く歌うことは意識しました。悲壮感がない、前を向いている歌い方というか。それは凄く意識して歌いました」

ティ部「ホントに優しい歌詞だから、感情を入れないわけにはいかなくって。気持ちを入れたから出せた(キーの)高さみたいなところもありました(笑)。あと、全員がまっすぐに歌ってます。私とトギーはいろんな曲でクセを強くして歌うパートがあるけど、今回は全然ないので」

トギー「私もこの曲はまっすぐ歌いたいって思っていて。レコーディングもそれでOKだったので、何かストレートに伝えたいなって思いました、この曲は」

モン「みんな素直な感じの声だね。逆に私は最初と最後のパートを、プロデューサーの松隈(ケンタ)さんに〈Charaさんみたいに〉〈ぶりっ子な感じで〉みたいに言われて歌って、逆に私がちょっと飛び道具というか(笑)」

――歌割もいつもと少し違って、1番のサビはトギーさんから歌ってますね。

トギー「はい。いつも1サビはモンちゃんとネオが多くて、落ちサビはティ部か私が多いんですけど、松隈さんに〈落ちサビは今回ネオでいこうと思う〉って言われて」

ネオ「言われた。ホントに落ちサビとかやったことないから〈え~、ウソ?〉って」

――しかも無音になるパートで。

ネオ「いや~、めちゃくちゃ難しかったです。最初はクリックなしで1回試して、盛大にずらして(笑)。で、クリック入れてレコーディングして、〈OK!〉みたいな」

モン「最初は〈ライヴ用に何か音を入れようか〉みたいな話もあったんですけど、結局ないままになって」

ネオ「めちゃくちゃ難しいよ」

――初回盤に付くドキュメンタリー映像でもこの曲の歌唱にまつわるシーンがありますけど、無音だから見せ場として良くなるというのはありますよね。

モン「ホントに良いですよね。これはもうネオの努力で。毎回セトリに“TOUCH ME”がある時はホントにずっと練習してて。だからこそ、本番で堂々とした歌声になって」

ティ部「そう、成功するとその後の振付けにも感情が入るんですよ。〈ああ! 成功した!〉みたいな嬉しい気持ちになって。いつも祈ってます(笑)」

ネオ「ちょっとでもズレたら振りにも関わってくるので、絶対にヤバイと思って。ずっと練習してます」