
BiSとZOCによるスプリットシングル『割礼GIRL/BEGGiNG』が11月3日にリリース。BiSのオリジナルソング“割礼GIRL”をZOCの大森靖子が書き下ろし、ZOCの“BEGGiNG”はBiSのサウンドプロデューサーの松隈ケンタが作曲を、渡辺淳之介と松隈が共作で作詞を担当。また、カップリングにはBiSがZOCの“family name”を、ZOCがBiSの“STUPiD”をそれぞれカバーしたバージョンを収録。今年7月のインストアイベントのダブルブッキングというアクシデンタルな(というよりも必然的な?)出来事から、異色同士の交配へと思わぬ形に発展した本作は、両陣営が持ち味を存分に発揮しながらもそれぞれのグループの新たな側面を照射した、じつに胸躍るコラボレーションとなった。
『割礼GIRL/BEGGiNG』は、いかにして作られていったか。意外にも今回が初めてだという松隈ケンタと大森靖子のプロデューサー対談をお届けする。
大森さんに会ったとき、「実在してたんだ!」と言われた(笑)
――おふたりはもちろんお互いの存在を知っていたと思うのですが、以前から面識はあったのでしょうか。この対談もありそうでなかった組み合わせですよね。
大森靖子「たしかに会ってなかったかも。存在を知ってると、会ったか会ってないかわからなくない?」
松隈ケンタ「そうっすね。がっつり顔合わせて仕事したのは今回が初めてなんです。たしか、椎名ぴかりんさんの曲で大森さんの曲を僕がプロデュースする(椎名ぴかりんの2015年作『MAKAI NO OWARI』収録曲“+゚*。:゚+(*´∀`*)+゚:。*+ぴかりんFUTURE+゚*。:゚+(*´∀`*)+゚:。*+”)ということがあって」
大森「詞曲のアレンジをしていただいて。それが初めてでしたけど、そのときもお会いしてなかったです」
松隈「そういう感じの距離感でしたね。初めて会ったの思い出しましたよ、いま。BiSかなんかが下北沢のGARDENに出て」
大森「〈Shimokitazawa SOUND CRUISING〉でしたっけ」
松隈「そうそう。何期のBiSだったかな。そこは忘れちゃったんですけど、そのあとに大森靖子さんが続けて出るということで、観てみたいなと思って行ったんです。そのときの楽屋で初めてお会いしました」
大森「たしかハグ・ミィが辞めるときですよ」
松隈「じゃあBiSHですね」
大森「BiSでもなかった(笑)」
松隈「グループ多いし歴史長すぎるしで覚えてられない……。それで(渡辺)淳之介が大森さんを紹介してくれて、挨拶したら『実在してたんだ!』って言われたのを覚えてます。『Twitterでしか見たことなかったから』って」
大森「そうでしたね」
松隈「もう5年くらい前のことですかね。印象的でした」

パンクでロックで、というのは同じ
――そして今回、BiSとZOCががっぷり四つでコラボすることになりました。7月に合同インストアがあって、大森さんが「BiSに曲を書きたい」と言ったという経緯がありますが、おふたりはこの企画をどんなふうに捉えているのでしょうか。
大森「ZOCもWACKも孤軍奮闘し続けているじゃないですか。アイドルのなかでカウンター同士であると思っていて。ここ(BiSとZOC)自体もそうだけど、どことも一緒にやろう、みたいな空気でやってきてないから、閉鎖的と言えば閉鎖的だったと思うんですね。ZOCは特に女性ファンが多かったりで、ほかのアイドルの現場にそこまで馴染みがなかったりするなかで、でもどこかとは絡んで広がっていきたいみたいな気持ちがあって。それはお互いにあったはず」
松隈「たしかに」
大森「自分は初期のBiSのときから同じようなライブハウスカルチャーにいたので、実際の距離的にも精神的なものもあまり遠からずだったし、細かく分類すると違うかもしれないけど、大きくパンクでロックで、というのは同じかなと」
松隈「大森さんが仰ったようにハートの部分は同じ系統ですよね。アイドル界に指立ててるような部分が少なからずあると思うので、ハマりはすごくよかったのかなと思います。そこに違和感もなく」
――ハマってますよね。今回のシングルがどれもすごくよくて。
大森「ああ、それは嬉しい。よかった」
松隈「よかった……。むちゃくちゃ不安で(笑)。どう受け取られるかわからないので」
大森「お互いのボーカルを詳しくは知らないですもんね。ZOCは今回BiSの“STUPiD”(2019年)をカバーしたんですけど、これはヒダカ(トオル)さんにアレンジしてもらって、ピエール中野とえらめぐみとカメダタクという、私がいつも一緒にやってるメンバーでバンドを組んでレコーディングしたんです。前にZOCで“DON’T TRUST TEENAGER”(2021年)を録ったときと同じように、ちゃんとバンド組んで生音でやろうってことで録ったんですけど、カメダタクがオワリカラというバンドをやってるんですよ。で、“STUPiD”の頭の〈歯切れの悪いオワリカラ〉というところでいつもシンセの演奏を間違うんです」
松隈「いきなり頭から動揺が(笑)」
大森「〈歯切れが悪いって言われてる気がして間違えちゃうんだよ〉って。〈おれのこと書いてんのかな。オワリカラってわざわざカタカナで書いてるくらいだし〉って言ってました(笑)」
松隈「そんなたまたまがあるんですね。すげー。オリジナルはもちろん、カバーもそれぞれのやりかたでアレンジしないとおもしろくないかなということで進めていきました。うちもそうですしZOCもそうですけど、音にこだわっているので、企画的にはおもしろくなりましたよね」
松隈さんの曲は普通の女の子をロックスターにする
――話が出たので先にカバーについてうかがっていきますね。BiSは今回ZOCの“family name”(2019年)をカバー。過去にもDorothy Little Happyやでんぱ組.incとコラボをしてきましたが、BiSが相手の曲をカバーするとテンポが速くなるという。
松隈「速くなり、重くなり。こっちの曲はでんぱ組.incさんとかに渡るとかわいくなるんですよ。そっちのほうがすごそうに見えるんですよね」
大森「すごそうって、なんですかそれ(笑)」
松隈「BiSは損しかしないんですよ(笑)。おれたちの音はわかられきってるんですよね。多分こうなるだろうな、たしかにBiSっぽいサウンドだなって。でも、BiSの曲を向こうに渡すと、かわいいアレンジにするとかわいい曲になるじゃん、みたいな発見があるんですよ」
――ただ今回の作品に関しては、そういうギャップのおもしろさではなく、すごく相性がいい印象があります。
松隈「そうですね。今回はそこまでジャンルを変えることなくできたというか。“family name”はもともとロックなサウンドだったので、僕なりに原曲へのリスペクトを残しつつ好きにやらせてもらいました」
大森「私はアイドル楽曲が好きなので、松隈さんの曲の分析みたいなことは前々からしていて。やっぱり普通の女の子をロックスターにしやすいメロディーの運びかたをされるなと。よく聴こえるというか、エモく聴こえる。あとは松隈さんが出したい音に合わせてボーカルをディレクションしてるなっていうのがよく伝わってくるんですよね。それが明確だから、一定のクォリティーのものをずっと出し続けられてるんだなと思います。自分でBiSをカバーするとなったときに、そこは崩したくないというのと、バンドをしっかりやってる人だということを大切に、なおかつその熱量を大事にやりたいなということで、バンドで録ろうということになりました」

――〈普通の女の子をロックスターにするメロディー〉との指摘がありましたが、ZOCの鎮目のどかさんのボーカルを聴くと、松隈さんの曲を歌う若者感がすごくあるというか。若者が松隈さんの曲を歌ってるのでそのままなんですけど(笑)。
大森「でもわかります。それっぽいんですよね」
――こういうクセのある発声の人はWACKのグループにひとりはいるな、という。
松隈「彼女はその役割でしたね。のどかさんでピースがハマったと思いました」
――ボーカルディレクションはおふたりでやったんですか?
大森「私がBiSの“割礼GIRL”とZOCの“STUPiD”をやって」
松隈「僕がBiSの“family name”とZOCの……(資料を見ながら)“BEGGiNG”?」
大森「曲名が“BEGGiNG”に変わったの知らなかったでしょ?」
松隈「最初は“嫁がケツ噛まれた”って曲名にしてたんですよ」
大森「メンバーも“嫁がケツ噛まれた”だと思ってます(笑)。〈『割礼GIRL/嫁がケツ噛まれた』が発売になります〉って言おうとしてましたし」
松隈「さすがにその曲名で出したらZOCに失礼ですよ!」
――松隈さんは“family name”のアレンジをしてみてどう感じましたか。
松隈「炎上したらイヤなんですけど、僕はほかの人の曲を聴いてあまりいいなと思わないんです。特にメロディーの置きかたですよね。僕のなかではプロのメロディーとアマチュアのメロディーというのが明確にあって。多分、料理人もプロが作った料理とアマチュアの料理とでは見りゃわかると思うんですよね。で、この曲はプロのメロディーだと思ったんです」
大森「やったー」
松隈「僕がそう思うことは珍しいんです。毎週のオリコンチャート見てても、10位までに1曲あるかないかくらいの感覚で。メロディーがいいのでアレンジもすんなりできたと言いますか。ふわっとしたメロディーだとアレンジでどうにか引っ張ってあげないと曲がかっこよくならない。“family name”はなにをやってもいいところに音符がきてるので、ボーカルディレクションもそこをそのまま生かしたり、おれなりにちょっと崩したりがしやすかったです。作った人のことが明確にわかるメロディーと言えばいいんですかね」

大森靖子は平和主義
――崩すという点では、“family name”のなかでは〈生きていきたい〉の〈たい〉がすごく松隈さん節だと思いました。語尾をきゅっとまとめていて。
松隈「〈たいー〉で一音符にしちゃうという。もとはどうでしたっけ?」
大森「〈たーい〉ですかね。おもしろい。〈たいー〉のほうが聴きやすいのかな」
松隈「クセになるかなと。大森さんとのコラボをやると聞いたときに思ったのは、プロデューサーがふたりいると基本的にうまくいかないじゃないですか」
大森「そうですか?」
松隈「最終的にどっちがジャッジするんだってなるので」
――でも、大森さんは平和主義ですからね。
大森「意外にそうなんよ(笑)。平和主義すぎて、一個だけダメだよと言ったときにそれが目立ってしまうだけで。基本はめちゃくちゃな平和主義です」
松隈「なるほど。変に中和されておもしろくないものができちゃうのはよくないなとも思ってたんですけど、ただ、平和主義だとは夢にも思わんかったから、ぶつからないことに驚いて。スタジオで『大森さん、どんな感じでいく予定ですか?』と訊いたら『ディレクションはお任せで、好きにやってください』と仰っていただいて。大森さん自身の歌も自由に指示出していい、ということだったんです」
大森「もっと指示を出してくれると思いました。遠慮されてましたよね」
松隈「違うの。逆なの。もし『指示出して』と言われたら、大森靖子というアーティストを僕なりに料理したいなと思ってたんですけど、そしたら僕の仮歌を聴いてきてくださったじゃないですか。僕の置きたいメロディーとか譜割りを完璧にやってきてくれたから驚いたんです。だから言うことがなかった。〈それ! その通り!〉っていう」
大森「おお、なるほど」

松隈「たしか大森さんは最後に録ったんですよ。メンバーさんはもちろんスペック高いですけど、大森さんだけ全然違うから。ギターを弾かれてるというのもデカいと思うんですよね。メロディーもそうですけど、僕はリズムを大事にするんです。歌がオケにしっかり当たってるかどうか。この感覚がさすがだなと思いました」
大森「〈こういう歌唱が好き〉とかじゃなくて、〈音楽がいちばん偉い〉と思っているので。松隈さんのボーカルディレクションは松隈さんの作った音のための正解だから、音を聴けば歌は自然とああなっちゃうんです。私なりにこの音の正解を歌おうと思って臨んだら、結果、松隈さんになる。そういうことなんだと思います」
松隈「思い通りにならないのがアイドルのおもしろいところでもあるんですよ。ふにゃっとしてちょうどよくなったりもするので。ただ、大森さんはすごかったですね。勘がいいと言うのもプロに対して失礼ですけど。バンドのボーカルが大森さんだったらめちゃくちゃ楽しいだろうなとは思いました」
大森「自分でもバンドやってるじゃん(笑)」
松隈「うちのボーカルは全然できないので。できないからケンカになって一度辞めちゃったんですよ(笑)。僕のグルーヴみたいなものを理解してもらえてるのはギタリストっていうのが大きいんでしょうね。僕は大森さんのギターが大好きだから」
大森「ありがとうございます。レコーディングでいちばん驚いたのは、『今日は緊張したからめっちゃ敬語使っちゃった』とにっちやん(西井万理那、ZOC)が言ってたことですね。一個も使ってなかったので、何言ってんだと思って(笑)。『敬語使ってなかったよ』って言ったら、『じゃあ逆に緊張して使えなかったかも』とか言ってて」
松隈「あの子はやばかったっすね。スタジオで『松隈さんて誰?』って言ってて、どう見てもこの部屋の真ん中に座ってるのおれやからっていう」
大森「後ろから見ながら、心のなかですいませんって何度も謝りました(笑)」

ZOCには初期BiSのことを思い出した
――松隈さんはZOCのメンバーと接するのは新鮮だったんじゃないでしょうか。
松隈「メンバーみんな強烈な個性でよかったですよ。初期のBiSのことを思い出しました。あの頃は僕も無名だったし、メンバーも何もわからないで入ってきたので、距離感が違いましたよね。まぁ、それでもあの子ほどの言葉遣いではなかったですけど(笑)」
大森「『WACKにはおらんなぁ』って言ってましたもんね。ですよね……って思いました(笑)」
松隈「ZOCはデビューされた時期から大森さんの世界観がすごいなと思って見てたんですよ。メンバーも変わられたりしたのであまりわからなかったんですけど、勝手にこわい人たちだと思ってたので、そのイメージからするとみんな素直な方たちでしたよ」
大森「こわいはこわいですよ。ZOCがBiSとタワレコで初めて会ったときに、渡辺さんがBiSのみんなに『ZOCに挨拶して』って言うじゃないですか。で『おはようございます』となって、『みんなZOCのこと好きだよね』『はい』『大森のこと大好きだよね』『はい』みたいなやりとりがあったんですけど、私はZOCのメンバーに『自分の意志を持て』と教育をしすぎているので、〈お前ら意志ねえのかよ〉って感じでガンつけ出して(笑)。〈やべぇ終わった〉と思いました。でもその日、チャントモンキー(BiS)が気合い入れて赤髪にしてきてて、ひとりだけガンつけ返してきたんです。そこで好きになりました」
松隈「おお!」
――BiSの4人は素朴で素直な人というイメージがあります。
松隈「特に3期はそうですね。よくも悪くもですけど。だからガン飛ばされるのもいい刺激になったんじゃないですか」
大森「実際に話してみるとおもしろくて。BiSって普段は衣装の露出もあまりしていない印象があって、今回の衣装の話をするときに、イトー(・ムセンシティ部、BiS)ちゃんが『大森さん、私はEカップあります』って訊いてもないのに言ってきて(笑)。じつは出したかったんだと思って。かわいいですよね。ネオ(・トゥリーズ、BiS)ちゃんはマジで歌うまいですね」
松隈「ネオはスペックが高いですね。大森さんが録ってくれたBiSの歌の印象はどうでした?」
大森「バランスがめちゃくちゃよかったです。ネオちゃんとチャントモンキーは絶対に突っ込まないんです。速くてリズムが立ってる曲って前に突っ込みたくなるので。ZOCだと藍染(カレン)は常にそうで、気合いが入れば入るほど、乗れば乗るほど突っ込んじゃうんですよ。だからすごいなと思っていて。突っ込まないぶんだけ体力も使うんですけど、逆にトギーちゃんとイトーちゃんはずっと体力があって。そのバランスもいいなと思いました。私が仮歌を歌ったんですけど、みんなそこまで覚えてくれるんだっていうくらい覚えてきてくれたので、めちゃくちゃやりやすかったです」

BiSが言うと下ネタにならない
――それぞれのオリジナル曲についても訊かせてください。“割礼GIRL”は皮をかぶらなくていいんだよというメタファーではあると思うんですけど、わりとダイレクトに割礼について歌っていて。大森さんがBiSに書くということで意識したことはありますか。
大森「逆にBiSが言うと下ネタにならないっていうのはありますよね。ZOCが割礼と言うと変なリアリティーが出ちゃうけど、BiSが言うとそんなに生々しさが出ない」
――たしかにそれはありますね。
松隈「最近のBiSではこういうのはやってなかったですよね。さすがだなと思いました」
――曲の最後に全員が大声で何かを叫んでますよね。
大森「渡辺さんに思ってることを叫んでくださいということで、はいどうぞって言って録りました。渡辺さんには内容を伝えずに(笑)。歌詞も事前に何も言わずに渡しましたね。怒られるかなと思ったんですけど、『なんか手厳しいね。大丈夫です』って感じでした」
――BiSはきつめの言葉を歌ってもなんだかユーモラスになるし、エモーショナルになりますよね。それは大森さんの指摘でなるほどなと思いました。
大森「でも意外と歌詞には品もありますよね。そこは考えました。松隈さんが提供してくれた“嫁がケツ噛まれた”の歌詞も好きでしたよ」

それでも毎日おしよせてくるトラブルが/まじやばい
――“BEGGiNG”も攻めた内容ですよね。
大森「もう予言かと思いました」
松隈「いつものパターンで僕が最初に歌詞を作るんですけど、これはすごかったですね。ZOCさんとのコラボだけど、狙って書かないほうがいいかなと思っていて。その頃、ちょうど隣の家の犬にうちの嫁がケツ噛まれたんですよ」
大森「かわいそう」
松隈「そこから僕のまわりに一か月くらいめちゃくちゃ不幸が訪れたんです。大森さんの前で言うのもなんですけど、今回の曲を作り始める時期だったので、ZOCの霊みたいなものに取り憑かれたのかなと」
大森「いや、逆に松隈さんのせいかもしれないな(笑)」
松隈「いやいやいや。それで不幸なことばっかり書いて、それを渡辺がもうちょっとストーリーにして。結果、すごくZOCらしい曲になってしまった(笑)」
大森「渡辺さんの心の叫びみたいですよね。〈それでも毎日おしよせてくるトラブルが/まじやばい〉って。〈仕事どころじゃない/お腹痛え〉とかも、渡辺さんって心あるんだと思いました(笑)」
――もちろん松隈さんや渡辺さんのパーソナルな面も出てると思うんですけど、マインドで繋がってるところがあるからか、松隈さんの言うとおり、完璧にZOCらしい歌詞になりましたよね。
大森「炎上したとき、〈もうやめて/諦めて/常識は持ち合わせてない〉って巫まろとふたりで仲よく歌ってました(笑)」
――炎上前にできていた歌詞だったんですね。本当に予言的。
松隈「ハマりすぎてやばかったです」
――〈それでも毎日おしよせてくるトラブルが/まじやばい〉への心の込め具合が歌からガンガン伝わってきますからね。
大森「トラブルが押し寄せてきますからね……」
松隈「メンバーの歌も個性的で。歌割りを考えるのも楽しかったです」
大森「にっちやんも曲に合ってますね」
松隈「みんなハマりましたね。ずっと録っていくならその後の戦略も考えますけど、一発勝負なので、全員がいまこの曲で生きるような歌を選びました」
――巫まろさん(ZOC)は松隈さんがやってこなかったタイプのボーカリストじゃないですか?
松隈「そうそう。まろちゃんがこっちのやりかたを少し剥がしてくれたというか。ほかの子は扱いやすかったというか、まろちゃんはいい意味で使いづらかったというのはあります。逆におもしろい使いかたができるなと思いましたね」

BiSファンにZOCを聴いてもらおうと思って作った
――松隈さんは歌詞をそこまで意識しなかったということですが、曲についてはいかでしょうか。ZOCにこういう曲を作ろう、と考えたりはしましたか?
松隈「それもあまり考えなかったですね。ざっくりとしたジャンル的なものは考えましたよ。このくらいのヘヴィーさで、このくらいのテンポ感がいいかなと。BiSとかBiSHに関しても、メンバーがこう歌うからこう作ろうというのは考えないです」
大森「事前に歌割りも決めないですもんね。全部つるっと歌って、録ったもののなかから決めていくという」
松隈「そうです。曲とのハマりで決めるので、人で考えてないんです。先に決めてって言われるとわからないんですよ。歌ってみないとわからないので決められない。たまにダンスを作らないといけないから歌割りだけ決めてくれって言われるときがあるんですけど、それは無理なので、(歌割りを)勝手に決めてくれということはあります」
大森「そんなときもあるんだ」
松隈「メンバーが辞めたりして、歌を録り直したりすることがあるじゃないですか。そういうときに多いですね」
――松隈さんの歌割りの采配もばっちりですよね。むしろこれしかないだろうというくらいで。
大森「私はここにするって思ったところが私でした。でしょうねって(笑)」
――松隈さんがそこまでZOCを意識しないで作ったというのも、らしさが出てますよね。大森さんは逆なわけで。
大森「聴いてくれるのがWACKのファンの方だと思うので、そこまでリズムを崩したりとか、ルーツがまったく違うものに持っていったらいけないので、そういうところを考えつつ、自分の得意な曲の運びかたとかクセを入れて。もともとは表現したことのない気持ちとか、そこがいちばん大事だと思っているから、そこから歌詞を起こしてこういう曲を書いて、という分析から始めて。これはBiSの曲だと思って書きましたね。
BiSがハイトーンを綺麗に伸ばせるというのはみんな知ってると思うんですけど、高いところにスコーンと当ててすぐ次の音符に移動するという私の曲はBiSが歌うには珍しいタイプだと思うので、それはやってもらいたいなと思って意識しました。私は歌割りを先に決めて、なんならその人が歌ってるイメージで曲を書きたいくらいなんですけど、さすがにそこまで知らないので、一度つるっと歌ってもらってから歌割りを決めて、もう一回歌ってもらいました」
松隈「大森さんの話を聞いていて逆だなと思ったのは、BiSファンが聴いてくれると思って作っていただいたと。で、こっちはBiSファンにZOCを聴いてもらおうと思って作ったんです。ZOCを研究しなかったというのはそういうところですね。こういうこというと炎上するかな?」
大森「大丈夫(笑)。ZOCはいろんなアレンジャーと作ってるので、それまでと違うタイプの曲がくることに慣れてはいると思います」
松隈「なるほど。でも、そこで作りかたがだいぶ変わるような気がしますね。それがそれぞれの個性として出てるんだろうなと」

何かをすり減らしながらステージに立っている
――といったあたりでそろそろ時間になります。気になるのは、ZOCを何度も取材してきて思うのは、リリースのたびになにかが起きるということで。
松隈「初期のBiSなんかもそうでしたね。でも、今回の一か月間は本当に大変だったからな……。制作が終わったちょうど一か月で呪いが解けたんですよ。思い返すと大森さんがざわついたあたりで落ち着いたなと」
大森「うちのせいですかね(笑)。なんかすいません。でも、私はいろんな人の10年分くらいのカルマを一年できゅっとする力があるなと思っていて」
――深い業を背負ってる感がありますからね。
大森「でもね、ステージに立つっていうのはそういうことだと思うので」
松隈「ですよね。すり減らしながらやってますから。これが出たらなにかあるんじゃないですか?」
大森「関わるときからちょっと不安なのが、なにかを焚きつけちゃってBiSのメンバーが辞めたりしたらどうしようって」
松隈「あはは(笑)!」
RELEASE INFORMATION
リリース日:2021年11月3日
品番:AVC1-61130
価格:1,980円(税込)
TRACKLIST
1. 割礼GIRL by BiS
2. BEGGiNG by ZOC
3. family name by BiS
4. STUIPiD by ZOC
LIVE INFORMATION
東名阪対バンツアー
「BiS×ZOC presents We are BZ tour」
2021年11月18日(木)東京・青海 Zepp Tokyo
開場/開演:17:30/18:30
2021年11月29日(月)大阪・桜島 Zepp Osaka Bayside
開場/開演:17:30/18:00
2021年11月30日(火)愛知・名古屋 Zepp Nagoya
開場/開演:17:30/18:00
料金:7,000円(税込/全席指定)
※未就学児童入場不可
※すべて電子チケットとなります
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