諭吉佳作/men 『放るアソート』 トイズファクトリー(2021)

中学生のときに十代限定フェス〈未確認フェスティバル〉で受賞を果たし、でんぱ組.incへの楽曲提供などでも話題を呼んだシンガー・ソングライターがデビュー作を2枚同時にリリース。『からだポータブル』は書き下ろし楽曲のみの作品で、予測不能のメロディーとピアノを軸にしながらトラックメイカー的な視点で編んだ情報密度の高いサウンド、伸びやかな歌唱とが織り成す無二の音楽性が存分に堪能できる。もう一方の『放るアソート』はコラボ楽曲集。崎山蒼志らとの既発のナンバーのほか、根本凪やKabanaguらを迎えた新曲を収めており、長谷川白紙との“巣食いのて”の歪みまくった音像のようなソロ作には見られないエッセンスが、主役のまた新たな表情を引き出しているのが聴きどころだ。