音楽で会いましょう
――古正寺さんはどうでしょう。
古正寺「いろんな曲があるので、好きな曲も毎回めっちゃ変わると思うんですけど……アルバムの最後に入ってる“アイドルを辞める日”はけっこうがんばりましたね。なかなかステージ以外では出さないぐらいの声量を出し切りました(笑)」
茉世「コショたん、がんばったよね」
ゆすら「うん。ちょっと泣きました。レコーディングしてるのを横で聴いてて、こう感情がすごく入って」
古正寺「ホントに? 嬉しい」
――これは曲名からしてドキッとします。
古正寺「まあ、デビュー作に入ってる曲とは思えないですよね(笑)」
――これは短絡的に言えば古正寺さんがモチーフでもあるんでしょうか。
古正寺「どうなんだろうな。私だけじゃなくて、すべてのアイドルはこういう気持ちなんじゃないかなっていうのを、たぶん大森さんは書いてくれてる気がします。これは元ネタがあるじゃないですか」
――大森さんの“音楽を捨てよ、そして音楽へ”ですね。
古正寺「はい。で、この曲はベーシック・レックで最終日のいちばん最後に録ってたんですよ。その日はこの曲だけ立ち会えたんですけど、大森さんとバンドの皆さんが録ってるのを見ながら泣きました。〈いや、これが世に出ないのか〉みたいな気持ちになっちゃって、〈これを超えなきゃいけないんだよな〉ってプレッシャーで(笑)」
――この重みが最後にあるのとないのでアルバムの印象も全然違ってきますね。
古正寺「そうですね。ちょっとヘヴィーだけどメロディーは明るかったりして、そういうところもいいし、ライヴで育ったらいいなって思います。これは大森さんファンにも特に聴いてほしいですし、アイドルじゃなくても何かを続けてきた人の歌だから、何かを一生懸命がんばってるすべての人に聴いてほしいですね」
――この長さでだんだん感極まっていく雰囲気が、グループの色合いを改めて示しているのかなって。
古正寺「ありがとうございます。グループの中心に音楽があるのを、ちゃんと示せたらいいなって」
――いいアルバムです。リリース日のワンマンでは全曲披露される予定ですか?
古正寺「はい。振付けは雅雀り子(ZOC)ちゃんにお願いしてるんですけど、あと10曲を振り入れしてもらうので(笑)」
ゆすら「前よりさらにハードなんですけど。そこは覚悟を持って、ワンマンに来てくださったお客さん一人一人が〈楽しかったな〉〈いいものを観たな〉って思って帰ってもらえるパフォーマンスにできるように精進していきたいなと思ってます」
茉世「世に出てしまったので、もう〈初心者だから〉とか関係ないなって、お披露目の映像を観て改めて思ったので、自分が初めてこの13曲もらった時のワクワク感を、同じようにお客様に届けられるように、大森靖子さんが作る世界観を伝えられるように、曲に入り込んでがんばらなくてはという気持ちでおります」
笑夢「私はワンマンって何かわかってなくて、まず。ライヴにも行ったことがないんです。なのに、初めてのライヴで自分が出る側なのって幸せなことだなっていうのを噛み締めつつがんばります」
古正寺「やっぱり最初のワンマンで決まるじゃないですか。だから、歌とかダンスを高めるのはもちろんなんですけど、大森さんやZOCのファンの人にも、前から見てくれてる人にも、MAPAとは何なのか、私たちが何者なのかを見せないといけないし、伝えたいなっていうのはあります。前にやってた音楽とは違ったりもするけど〈いいものはいいでしょ?〉っていうのを観せたいので。そのうえで、みんなから受け入れてもらえたらいいなって思います」
――はい。では個人として、MAPAとして、この先の目標というとどんな感じになるでしょうか。
古正寺「広いところが似合うグループな気がするので、デカい場所でやりたいなと思ってますけど、とにかくいまは目の前のことをやるのみです(笑)」
ゆすら「うん。個人的にはお披露目でもちょっと言ったんですけど、私は物書きもしてるので、言葉を大切にアイドルがんばりたいと思っています。靖子さんの書く歌詞が伝わって、聴く人たちの考えていることと交わって、お互いに関係を深めていけたらいいなって思います」
茉世「個人的な思いになってしまうんですけど、純粋に音楽が好きで、本当に感動してもらえる歌がうたいたいので、そういう面を特に磨きたいです。〈歌といえば茉世だよね〉みたいに思ってもらいたいです」
――笑夢さんは?
笑夢「私はタワマンに住みます」
古正寺「いい目標だな(笑)」
関連盤を紹介。
左から、大森靖子の2021年作『PERSONA #1』(avex trax)、11月3日にリリースされるBiS×ZOCのスプリット・シングル『割礼GIRL/BEGGiNG』(A.S.A.B)