Mikiki編集部員が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、4人が1曲を厳選し計4曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部
【田中亮太】
NOT WONK “The Place where nothing’s ever born (YODATARO Remix)”
先週、体調不良につきこの連載をお休みさせてもらったので、1週間少し前の曲になりますが、あらためてご紹介。NOT WONKとレーベルのKiliKiliVilla、それぞれの活動初期から歩みを共にしてきた両者が袂を分かつことになり、そのはなむけとしてひとつの楽曲が生まれました。バンドの最新アルバム『dimen』(2021年)収録曲を、KiliKiliVillaの運営を担い、DJとしても活動するYODA TAROがリミックス。アルバムのなかでもひときわメロディックなロックナンバーに、星屑のごとき鍵盤のフレーズ、夜空を滑空していくダンスビートが加わり、センチメントなプログレッシブハウスへ。何も知らなくても踊れますが、両者のストーリーに触れているとやたらに泣けます。
【酒井優考】
四丁目のアンナ “苦しいね”
ちょっと世の中苦しすぎですよね。四丁目のアンナのことは、ちょっと前からその名を耳にするたびに聴いてはいたんですが、聴くたびに〈ちょっと変わったバンドだけど軸はどういうところにあるんだろう? どんなバンドなんだろう?〉って、なんとなくまだ方向性が定まってないような気がしてよく分かってなかったんです。で、Bampuk_Kahukの現場でメンバーのディスコさんにお会いして、その縁でこの新曲も聴かせてもらったんだけど……。曲は重めで粘り気のあるロックで、昔の椎名林檎とか好きな人は好きだと思うし(やだなーこういう時林檎さん例えに出すの音楽編集者として最悪、と思いながらも〈天才プレパラート〉みたいなんだもん)、もし自分が映画を撮ったらエンドロールでこういう曲かけたいなとか思うんだけど、でもこれまでの曲を踏まえると、やっぱりバンドの方向性が圧倒的に分からなくて。それもあってディスコさんに歌詞をもらったんだけど、英語と中国語と日本語が入り混じってて、全部を日本語に訳したとしても意味が分からない歌詞で、ますます〈あなたたちは何者なんですか?〉という謎が深まりました。苦しいね。
【天野龍太郎】
RADWIMPS “MAKAFUKA”
イントロからラストまで、バンドの冒険的な姿勢が感じられる、すごくかっこいい曲。配信リンクはこちら。
【鈴木英之介】
細野晴臣 “Sayonara America, Sayonara Nippon”
細野晴臣が2019年に行ったアメリカ公演の模様を収めたドキュメンタリー映画「SAYONARA AMERICA サヨナラ アメリカ」のテーマソング。原曲は、はっぴいえんどのラストアルバム『HAPPY END』(73年)に収録されたヴァン・ダイク・パークスとの共作曲“さよならアメリカ さよならニッポン”だが、それが約半世紀を経てこの度生まれ変わった。フォークやアメリカンポップスはもちろん、エキゾチカからアンビエント、エレクトロニカまで、彼が辿ってきたキャリアと残してきた作品のエッセンスがすべて詰まったようなアレンジが素晴らしく、その密度の高さに思わず眩暈を覚える。映画は11月12日(金)より公開なので、ぜひ劇場の音響設備でこの曲を浴びたいところだ。