2026年もCDを回して回して回して回して回して参ります〈CD再生委員会〉。などと書いてる時点でもう古くなってるミームからスタートしてしまいましたが、今回のテーマはずばり「あたらしい音楽のデザイン」です。株式会社ビー・エヌ・エヌ様より発売中の書籍「あたらしい音楽のデザイン」を編集した松岡優さんと、本書にデザイン例を提供しているデザイナーのKMI(ケーエムアイ)さんに取材しました。プロフェッショナルから見た、今の時代の音楽もといCDのデザイン! 必見です。

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BNN編集部 『あたらしい音楽のデザイン』 ビー・エヌ・エヌ新社(2025)

 

令和以降の多様ですぐれた音楽デザイン

――そもそも、この本の企画はどのように始まったのでしょうか。

松岡優「ビー・エヌ・エヌは出版社として、さまざまなジャンルのデザイン事例集の本を出しております。『アニメ・ゲームのロゴデザイン』や『農業とデザイン』など、他にもいろいろありますが、音楽にまつわるデザインについての本が、近年、あまり無いように思いまして。

私自身、音楽が好きですし、配信なども含めて音楽の形態がいろいろ移り変わっている中で、今の音楽のデザインというものを改めて見てみれば面白いのではないか、と考えました。もう1人の外部編集者と情報収集し、ほか多数の方々にご協力いただきました」

――KMIさんは、どのような形でこの本に関わられたのでしょうか。

KMI「私は松岡さんのお誘いで、本の協力者の内の1人ですね。掲載されている作品の貸し出しや、各作品のコメント執筆などで参加させていただきました」

松岡「KMIさんはパソコン音楽クラブやミームトーキョーなど、さまざまなアーティストのパッケージやグッズをデザインされていますし、以前から存じ上げていたので、ご協力をお願いしました」

――LiSAや藤井 風、YOASOBIといった超メジャーな方の作品もあれば、冥丁のようなマニアックなアーティストのものまで、さまざまな作品が掲載されていますよね。どのように掲載作品を選んだのでしょうか?

松岡「やっぱり実物を見る必要があるので、それこそタワーレコードさんにも足を運んで、リサーチしました。また、歌詞カードのクレジットを確認しきれないこともあり、ホームページやSNSなどを通じてデザイナーさんのお仕事をチェックしています。

掲載の基準については、令和の、つまり2019年以降の作品に限定しました。その上で、知名度にかかわらずすぐれたデザインであること、なるべく幅広いジャンルから選ぶことを意識しました。

また、デザインのタイプも、アーティスト本人の写真主体のものもあれば、もっとグラフィック主体のものまで、両方が混在するようにしています」

 

アイディア勝負なパソコン音楽クラブのMVやグッズ

――KMIさんは、パソコン音楽クラブのグッズデザインを初期から手掛けていますよね。この本には、KMIさんの手掛けたパ音のアイテムも多く掲載されています。

KMI「そうですね、いろいろ載っています。MVの章では、スケブリさん(杉山峻輔/デザイナー)が手掛けたパ音のMVなども掲載されていますが、やっぱりすごい作品だなあと思いました」

松岡「スケブリさんには弊社の書籍のエディトリアルデザインでもお世話になっています。ビジュアルの制作だけでなく、モノとしての設計(本でいうと版面の設計)や書体の使い方が面白いと以前から感じていました」

パソコン音楽クラブの2024年のグッズ〈DTM specialist Card〉

――実際、パ音のグッズを作る時は、どのようなやり取りがあるのでしょうか?

KMI「ご本人たちに〈こういうグッズを作りたい〉という構想がまずあり、そこから話し合って進めて行く感じですね。マッキーやIDカードは、柴田さんのアイディアです。Pのロゴのパーカーやシャツは、2000年代テック系企業のスタッフTをモチーフにしています。

逆に、こちらが提案する場合もあって、例えば10周年記念の皿とか、ヘンなアイディアでも面白がってくれたり(笑)」

――こちらの提案も受け入れられるのは、仕事していて楽しいですよね。

KMI「お金や時間がかかっても〈こっちの方がお客さんも喜ぶよね〉ということでやらせてもらえるのは、ありがたいですね」