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若手実力俳優集結! 売れない芸人トリオの〈終わり〉と〈始まり〉を描く傑作ドラマ!

 売れない芸人トリオ〈マクベス〉の解散までの物語である。結成10年で売れなかったら解散と掲げ、売れずにその10年目が来る。解散する否かその逡巡を含め、芸人トリオとその周囲の人々の群像物語が展開される。

 各話のオープニングで芸人トリオのコントの一部分が映し出されるのだが、その後の物語が伏線となっていて、エンディングでコントの全貌を見ることによって伏線が回収される仕組みである。

 この構成の妙には、さすが「俺の話は長い」の脚本家・金子茂樹の仕事だと膝を打つだろう。但し、本作は伏線回収のカタルシスがメインのドラマでは実はない。ここで、少し長くなるが、公式HPの放送決定時の文章を引用してみよう。

金子茂樹 『コントが始まる』 バップ(2021)

 このドラマは、〈あの頃〉に思い描いていた〈大人の自分〉とはまるでかけ離れた〈大失敗〉な人生を歩んでしまった20代後半の若者たちが、その〈失敗〉をしたからこそ出会う人や出来事によって、まるで思い描きもしなかった未知の〈幸せ〉と巡り合う現代の5人の若者の生き様を描いた群像物語。(公式HPより)

 20代後半の若者にかぎらず、理想の自己像と現実との乖離を実感する人には他人事ではないドラマなのだ。ただ〈大失敗な人生〉が本当に大失敗であったか否か、そんな人生の意味を会話やシチュエーションで描く巧みさこそ本作の素晴らしさだ(一例だが、菅田将暉演じる主人公の未来を決定する〈あるモノ〉がどういう経緯で入手されたかを確認していただけたらと思う)。

 そして何より演者の素晴らしさ。菅田将暉、有村架純、神木隆之介、仲野太賀、古川琴音といった、どちらかと言えば〈映画寄り〉なイメージの若手実力者が一堂に会す図は壮観である。例えば、菅田・有村は「花束みたいな恋をした」からの再共演だが、本作を見て「はな恋」の主人公たちとイメージが被ることが全くないのだから、役者というものの凄さに単純に驚くしかない。

 本作と出会ったことで〈始まる〉人生に幸あれ。そう素直に思える傑作ドラマである。