「ザ・バンド全曲解説」という大上段に構えたタイトル。その心意気は嬉しい。〈解説〉であるから批評や批判ではない。それは各自が行えば良いことではあるけれど、『Islands』での音は「シンプルで骨太なザ・バンドのサウンド」とはややかけ離れてしまっている。その言い訳(契約上の問題うんぬん)は許してあげよう。各アルバムの時間経過を追いながらの制作背景については、ロビー・ロバートソンの「Once Were Brothers」で語られたものとほぼ同じであるが、映画のそれよりきめ細かに解説されている。またThe Hawks時代の楽曲、〈The Last Waltz〉以降の各ソロ活動などについても丁寧に解説してくれているのは嬉しいところである。