ナスターシャ・キンスキーが好きゆえに観た「パリ・テキサス」で初めてライ・クーダーを聞いたのが高校一年時。15歳の自分にはいささか渋すぎではあったが、青空の下広がる砂漠とそこに流れるスライドギター。あの冒頭の映像と音楽は未だ自分にとってのライのイメージであり、それくらい強烈な印象だった。それはさて置き207ページ全部ライ・クーダーという本書は凄い。オリジナル・アルバムは1枚毎に見開きで紹介され、手掛けたサントラや参加作、影響元から共演者についてまでを詳細に解説している。ライの音楽がいかに多様か、それらがいかに豊かな音楽経験をリスナーにもたらすかがよ~くわかる家宝級の1冊。