まさしく孤高の存在であり、彼を知る名だたる演奏家たちが心からの賛辞を惜しまない。長年の友、シフの敬愛に満ちた手紙に始まる20のインタヴューと寄稿から親愛と共に浮かび上がるのは、ルプーの音楽のマジカルな魅力、彼の足跡、そしてアティテュードの顕現である。そこへ織り込まれた様々な事柄は、読み手に数多くの豊かな示唆を与えてくれるはずだ。ルプーは90年代を最後に録音を止め、2019年6月の演奏会をもって密やかに引退した。彼はインタヴューも受け付けない。著者にしか成しえなかったこの書から立ち昇るルプーの姿、ルプーの声。ルプーが奏でる音楽に立ち戻り、そこで彼が語ることに耳を傾けたい。