音楽の授業では絶対に教えてくれないこと、しかし、音楽をつくり、聴き、語る上で絶対に必要なことが詰まった一冊。指揮者の山田和樹が「頭のお医者さん」のような存在と語る、音楽プロデューサー浦久俊彦と対談した本書は、まさに〈超〉音楽対談と呼べるもので、オーケストラの未来の問題も〈宇宙と音楽〉から始まる悠遠な音楽史の中で語られる。両者の議論は枝葉が伸びるように拡散してゆくが、その都度、浦久氏の驚異的博学に基づく的確な文献引用があり、山田氏の実践体験からの証言が加わり、本論との強い連関と説得力を失うことがない。日本の音楽文化全般を考える上で重要な示唆を与えてくれる。