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ミステリーはミステリーのままで

監督は本作の製作にあたり、スパークスの2人に直談判した。その際に2人は「以前からドキュメンタリー製作の話はあったけれど、(オファーしてきたのが)それを作るのに相応しい人々とは思えなくて断り続けてきた。でも、君なら相応しい」と快諾。ドキュメンタリーを作るとそこでキャリアが終わってしまう感じがしていたというスパークスの2人に対し、監督はそういうアプローチではなく今のスパークスに注目するものにしたいと熱弁したそうだ。

そして、完成した作品を観てスパークスのロン・メイルは「今までずっと自分たちの世界のなかで仕事をしてきたので、実は知らなかったこともたくさんあった。ミュージシャンだけでなく俳優やコメディアン、これだけ多くの人たちがスパークスを好きでいてくれたんだと映画を通じて初めて知ることができたよ」と話す。「エドガーにとっても初のドキュメンタリー作品で、製作にかけた3年間の献身ぶりを考えてもその熱意を感じている。ただ、自分たちとしてはあくまでもドキュメンタリーだけど、エドガーの作品でもあってほしいと強く思っていたんだ。完成した作品を観て、実際にそうなっていたよ」。

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スパークスから監督に一つリクエストをしていたそう。「自分たちで狙ってそうしているわけではないんだけど、このバンドの持つある種のミステリアスなイメージ――その部分はあまり剥がさないで欲しい、ミステリーはミステリーとして守ってくれたらありがたいと伝えたんだ」。でも「エドガーからは〈心配しないで、きっと観終わったらさらに謎に包まれてミステリアスな気分になるから〉と言われたよ!」とロンが明かす。

 

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寅さんの町、柴又への聖地巡礼

撮影では日本にも訪れていた一行。劇中では過去の日本でのライブの模様に加えて、柴又散策の様子なども収められている。日本での撮影の思い出を訊いた。「柴又でもたくさん撮影をして、渋谷の純喫茶〈名曲喫茶ライオン〉にも行ったよ。ここが東京の僕らの好きな場所だと伝えて、撮影しに行ったんだ。この作品は世界各地で撮影したんだけど、最初の撮影場所が東京だった。これからこういう生活が3年間続くんだなって思ったよ」とラッセル・メイル。続けて「エドガーは僕らの好きなものへのこだわりにビックリしていた。僕たちは寅さん映画が好きで、柴又に行ったのは聖地巡礼の意味もあったんだ」とロンが付け加えた。ちなみに兄弟そろって寅さんが好きだそう。

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エドガー・ライト監督のスパークス愛があふれ出る「スパークス・ブラザーズ」。総勢80名のスパークスのファン、友人、様々な立場の人たちにインタビューを敢行したことについて、監督は「皆が語ってくれたストーリーは、この50年間のポップカルチャーの歴史そのもの」と語った。72年のデビュー以降、50年にわたり、ライブ盤やコラボ作、サントラを含む27作のアルバムを世に送り出してきたスパークス。映画を観終わったとき、なぜ監督が型にはまらないメイル兄弟の軌跡をいま映像化したのか、それを理解できることだろう。

映画「スパークス・ブラザーズ」予告編

 


FILM INFORMATION
映画「スパークス・ブラザーズ」
監督:エドガー・ライト
出演:スパークス(ロン・メイル、ラッセル・メイル)、ベック、アレックス・カプラノス、トッド・ラングレン、フリー、ビョーク(声)、エドガー・ライトほか
配給:パルコ ユニバーサル映画(2021年|イギリス・アメリカ|141分|G)
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https://www.universalpictures.jp/micro/sparks-brothers
2022年4月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー!