Lionel Louke @ Cotton Club Tokyo, 2019
©Takehiko Tokiwa

リオーネル・ルエケの、ジャズ原点回帰を辿る旅の記録

 西アフリカのベニン出身のスタイリッシュなギタリスト、リオーネル・ルエケと、ニューヨークのファースト・コールであるリューベン・ロジャース(ベース)とエリック・ハーランド(ドラムス)が、がっぷり四つに組み、ジャズ・マスターたちのオリジナル、アメリカン・ソング・ブックに挑んだ。

LIONEL LOUEKE 『Close Your Eyes』 Sounderscore(2021)

 本作『Close Your Eye』は、ピアニストのイーラン・メーラーが主宰するアナログ盤を限定リリースするレーベルNewvelleから2018年にリリースされた。今回、新たに未発表の3曲を加えて、ルエケのメイン・トリオ〈ジルフェマ〉のベーシスト、マッシモ・ビオルカティのレーベルSounderscore RecordsからCDでリリースされる。ジャズ・オリジナルでは、師のウェイン・ショーター(テナー・サックス/ソプラノ・サックス)、マイルス・デイヴィス(トランペット)、セロニアス・モンク(ピアノ)、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス/ソプラノ・サックス)をカヴァーし、レジェンドをトリビュートしている。今回追加されたエンディングを飾るコルトレーンの“Naima”は、ソロ・ギターで、ミニマルなリリシズムを追求している。アメリカン・ソング・ブック・チューンも、西アフリカ音楽のエッセンスが散りばめられ、ロジャース、ハーランドのインタープレイで、唯一無二のサウンドが完成した。

 バークリー音大に在籍時のルエケは、トラディショナルなスタイルのジャズ・ギタリストだったという。セロニアス・モンク・インスティチュートに進学し、ハービー・ハンコック(ピアノ/キーボード)、ウェイン・ショーターの薫陶を受けた。卒業後にデビューを飾ったテレンス・ブランチャード(トランペット)のグループでは、ヴォイスも駆使して西アフリカ音楽にルーツを持つ音楽を、ナイロン弦ギターで奏でるオリジナル・スタイルを確立する。そしてハービー・ハンコック・グループなどで幅広く活躍し、大きく羽ばたくこととなる。本作は、リオーネル・ルエケの現在のスタイルで、彼のジャズ・ギタリストとしての源流を辿る旅を記録したアルバムである。