女優・草刈民代が芸術監督として挑む注目のウクライナ支援企画

 ロシアのウクライナ侵攻は日本にも様々な影響を及ぼしている。政治や経済はもちろん、芸術の分野でも問題が深刻なことは周知の通りだ。その一つであるバレエはロシアとウクライナの双方と長年関わりが深く、日本のバレエの歴史は両国をはじめとした海外バレエ団、振付家、スターダンサーたちによって育まれてきた。そうした経緯を踏まえ、ウクライナを支援する注目企画を立ち上げた人がいる。2009年まで日本を代表するバレリーナとして活躍し、現在は女優としても新境地を拓き続ける草刈民代だ。公演名は、〈キエフ・バレエ支援チャリティーBALLET GALA in Tokyo〉。7月5日に昭和女子大学人見記念講堂で開催される。

 「バレリーナとして活動する中で、ロシアのバレエ関係者と沢山の仕事をしてきたので、侵攻が始まってからは色々と考えさせられる日々でした。そんな折、7月中旬からウクライナのキエフ・バレエが来日公演が行います。このバレエ団は1972年に初来日以来、2007年からはほぼ毎年日本ツアーを開催してきました。でも、昨年冬の来日は、直前に日本政府の水際対策で公演が全てキャンセルに。今年は何としても来日を実現させようと、皆さん懸命に動いています。来日が実現すれば当然注目されるはずですが、長いスパンで考えると、今こそ彼らの存在を一人でも多くの日本人に知ってもらえるようなアピールが必要だと考えました。それに今年は7月だけでなく、12月に劇場の引っ越し公演と言える全幕バレエでの来日も予定されています。キエフ・バレエの今後の復興のために〈Dance for Peace〉ではなく具体性のある企画をという想いから、今回のチャリティー公演を立ち上げたのです。現在のウクライナ支援はバレエ教室などのアマチュア中心ですが、私たちのようなプロがもっと声を上げるべきでしょう」

 昭和女子大学人見記念講堂のキャパは2008席だが、今回の一般開放は1800席。チケットの入手方法や価格は以下の通りだ。

 「全席無料招待で、応募方法は、WEBと往復葉書の二つ。来場者の皆様には、キエフ・バレエのために5000円以上の義援金をお願いします」

 今回は、ウクライナへの配慮もあり、「デューク・エリントン・バレエ」「ジゼル・アダージオ」「コッペリア」といったロシア以外の傑作を10~12作品ほど上演。出演者には、加治屋百合子(ヒューストン・バレエ団)、平野亮一(ロイヤル・バレエ団)、佐久間奈緒(元バーミンガム・ロイヤル・バレエ・プリンシパル)といった世界的に活躍する若手が多数並び、井田勝大指揮・シアターオーケストラトーキョーが管弦楽を担当する。

 「出演者の中には、欧米の最前線で活躍していることから、ロシアとウクライナの狭間で大変な思いをした方もいます。今回は出演者全員にそうした体験談や想いを文章にして寄せてもらい、パンフレットやホームページに全文掲載予定なので、ウクライナに近いヨーロッパで活動している日本人ダンサーたちがそこで何を体験し、何を感じ何を思ったかを読んでいただきたいと思います」

 前述のように、ウクライナやロシアのバレエとの長年に渡る深い交流の中で発展を遂げてきた日本のバレエ。草刈は、今回の公演はその成果である日本バレエの経験の豊富さを示すことにも繋がると考える。

 「私はバレリーナを引退後、10年以上バレエの世界から離れて活動をしてきましたが、今回久しぶりに今のダンサーの方々を拝見し、そのレベルの向上に目を見張りました。出演する皆さんは、これからの日本のバレエを背負っていく人たちです。近年はコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻と続き、世界中の価値観が変わっていく中で、芸術の在り方も深く問い直す時期にきていると思います。キエフ・バレエの支援と共に、芸術の存在意義や、平和な世界を目指すために私たちができることは何なのかを、皆で考えていきたいと思います。どうぞご支援のほど、よろしくお願いいたします」

 


草刈民代(Tamiyo Kusakari)
牧阿佐美バレエ団の主要バレリーナとして活躍。2009年4月、「Esprit~ローラン・プティの世界」をプロデュース。国内11都市、14公演を行いバレリーナとしての幕を閉じる。日本のバレエを一般に広めることに大きく貢献した。女優としては96年には映画「Shall we ダンス?」(周防正行監督)に主演し、数々の賞を受賞。2010年のNHKの大河ドラマ「龍馬伝」にてテレビドラマ初出演。2011年、主演バレエ映画「ダンシング・チャップリン」(周防正行監督)が公開。2012年、映画「終の信託」(周防正行監督)に主演し、第36回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。今後も様々な分野での活動が期待される。

 


EVENT INFORMATION

キエフ・バレエ支援チャリティーBALLET GALA in TOKYO
2022年7月5日(火)東京・太子堂 昭和女子大学 人見記念講堂
開演:18:30(20:30終演予定)
来場者全員無料(全席指定・特製プログラム付)
※入場にはチケットが必要です。チケットの申込みをご確認ください
※入場者の皆様には5000円以上の募金をお願いします。(学生の方は除きます)募金全額をキエフ・バレエ団に寄付させていただきます

芸術監督:草刈民代
指揮:井田勝大
管弦楽:シアターオーケストラトーキョー
出演:
アンナ・ムロムツェワ(キエフ・バレエ)
佐久間奈緒(元バーミンガム・ロイヤル・バレエ)
加治屋百合子(ヒューストン・バレエ)
青山季可(牧阿佐美バレヱ団)
佐々晴香(スウェーデン王立バレエ)
藤井彩嘉(チェコ国立バレエ)
佐藤碧(マーサ・グラハム・ダンス・カンパニー)
芝本梨花子(デンマーク王立バレエ)
大谷遥陽(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
中野伶美(ルーマニア・シビウ劇場バレエ)
ニキータ・スハルコフ(キエフ・バレエ)
平野亮一(英国ロイヤル・バレエ)
厚地康雄(元バーミンガム・ロイヤル・バレエ)
菊地研(牧阿佐美バレヱ団)
松井学郎(ノルウェー国立バレエ)
江部直哉(カナダ国立バレエ)
猿橋賢(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
福田昂平(元ノヴォシビルスク・バレエ)
二山治雄(元パリ・オペラ座バレエ短期契約)
水井駿介(牧阿佐美バレヱ団)

上演作品:
「デューク・エリントン・バレエ」The Opener(ローラン・プティ)
「海賊」より
「バラの精」
「And... Carolyn.」(アラン・ルシアン・オイエン)
「Deep Song」(マーサ・グラハム)
「ノートルダム・ド・パリ」(ローラン・プティ)
「ジゼル」アダージョ
「小さな死」(イリ・キリアン)
「二羽の鳩」(フレデリック・アシュトン)より
「祈り」(アメリカン・バレエ・シアター版「コッペリア」より)
「森の詩」より

※出演者および演目は変更となる場合がございます。ご了承願います
※本公演は専門家の指導及びホールと共同で新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みを実施致します

■チケット申込みについて
(抽選:お申し込みお一人様2枚まで応募可能です。当日のチケット配布はございません。約1,800名招待)
①WEB申込みの場合
申し込みURL:https://l-tike.com/st1/balletgala-ftk
申込み受付期間:2022年6月13日(月)15:00~2022年6月22日(水)23:59まで
チケット引取期間:2022年6月24日(金)15:00~2022年6月28日(火)23:00まで
※チケット引取期間を過ぎますと、チケットは無効となりますのでご注意ください
※チケットは無料となりますが、チケット発券システム利用料として220円/枚がかかります

②往復ハガキ申し込みの場合:
往復はがきに氏名・ふりがな・ご住所・電話番号・申し込み枚数(1枚又は2枚)を明記のうえ、事務局に応募いただきます。6月21日(火)消印有効
申込み受付期間:2022年6月13日(月)~2022年6月21日(火)
当選落選発表:往復はがきに記載された住所に当落通知をお送りします。(当選の場合はチケットを送付いたします。返信用はがきは、氏名とご住所をお忘れなくご記入ください。)
お申込み先:〒104-0043 東京都中央区湊3-10-11 第2山内ビル5F
(株)パシフィック・コンサート・マネジメント バレエ・ガラ係
お問い合わせ:キエフ・バレエ支援チャリティーBALLET GALA事務局(パシフィック・コンサート・マネジメント)
TEL:03-3552-3831(平日10〜17時)

特別協賛:株式会社タイカ/クレアシオン・ホールディングス株式会社/中央精版印刷株式会社/Tri-Wall LIMITED/Momentrium Inc./楽天モバイル株式会社
協賛:株式会社アートネイチャー/株式会社西鶴/滝久雄(ぐるなび創業者)/チャコット株式会社/ミワ株式会社/株式会社反好事家八分音符事務所/株式会社久泰/NEOTERIC/株式会社リアルメディア/リーチフェイス株式会社
後援:学校法人昭和女子大学
https://www.classics-festival.com/rc/kyiv-ballet-gala-in-tokyo-2022/