20世紀のバレエの巨匠
ローラン・プティに捧げる……

草刈民代が芸術監督を務め、世界のトップバレエ団で活動するダンサーたちが、プティ作品を中心に古典や現代バレエを披露するオマージュ公演が決定。

――1996年に牧阿佐美バレヱ団で「アルルの女」(※日本のバレエ団による初めてのプティ作品上演)に出演後、「若者の死」の〈死神〉に抜擢された。そして「ディーク・エリントン・バレエ」「ピンク・フロイド・バレエ」の大作に出演。その後、自身のプロデュース公演、そして主演バレエ映画の「ダンシング・チャップリン」(2011年、周防正行監督)と、ローラン・プティは草刈さんのバレエ人生の大きな存在となりました。

「『若者と死』の〈死神〉を演じたことは、バレリーナとしての大きな転機となりました。実は10代の頃からプティ作品に憧れていましたが、日本人の私には手が届かないものだと思っていたのです。〈死神〉の抜擢はプティ先生御本人から直接聞いたのですが、憧れの作品だった『若者と死』が踊れるということで、役を頂いたときは天にも上る気持ちになりました。先生はジュネーブで『Shall we ダンス?』をご覧になったそうで、その時のインスピレーションから『若者と死』を踊らせようと思ってくださったようです。プティ先生は私に、あらゆる側面から光を与えてくださいました。今考えてもすべてが貴重な体験でした」

――2011年に亡くなられましたが存命なら来年が生誕100年。20世紀以降のバレエ芸術の進化と発展に大きな影響を与えた真の巨匠ですね。

「若い頃から、パブロ・ピカソやジャン・コクトーなどの巨匠と交流があったようです。そもそも名曲“枯葉”はプティ先生の舞台作品のためにジョゼフ・コズマが書いた楽曲で、“枯葉”の部分は主役の男女が踊るシーンに使われていました。それがイヴ・モンタンによって歌われ、シャンソンのスタンダード曲になったそうです。『ピンク・フロイド・バレエ』も1973年1月の初演では(※アルバム『狂気』で世界的大ブレイクを果たす前の)本人たちが演奏を担当しています。プティ先生が発掘してきたものは、新しさの中にアートの核といえるものが含まれていたのではないでしょうか」

Photo by HIDEMI SETO

――今回の公演ではプティ作品を中心に、ジョージ・バランシン、セルジュ・リファール、ジョセ・マルティネスらの作品も並ぶ、バレエの変遷を物語る多彩なプログラム。全体は2部構成になっていますが……。

「第1部では本人たちが得意とするもの……より個性が出せるものを古典やネオクラシック作品から選びました。そして第2部では全員が新しいものに挑戦します。プティ作品は5本。短い中にもドラマがギュッと凝縮された作品ばかりなので、それを伝えるための高い表現力が求められます。今回のリハーサルを経て、ダンサーがどのように変化していくか、とても楽しみです。」

――振付指導にはプティに愛され、最も信頼されていたルイジ・ボニーノを迎えるなど、ダンサーにとって貴重な経験になりますね。

「1996年の『アルルの女』から、ルイジにもコーチをしていただいてきましたし、時には一緒に踊ることもありました。実はルイジは私の憧れのダンサーだったのです。まだ10代の頃に、テレビの中継で役者のように演じ踊っているルイジの姿を観て衝撃を受けました。バレエでここまでの表現ができるのかと。私自身、ルイジの指導によっても表現力を引き上げてもらってきましたし、引退後は女優としての活動を通して学んだ経験が今回の指導にも活かせると思っています。ルイジと一緒にダンサーに内在する新しい可能性を発見し、引き出していきたいです」

――総合芸術としてのバレエの魅力のひとつである衣裳にも注目が集まります。丸山敬太さんに委嘱されています。

「バレエの衣装製作は難しいのですが、敬太さんは伝統のひな形を崩さずにご自身のセンスを発揮してくださいます。昨年の〈キエフ・バレエ支援チャリティー〉公演でお願いした『薔薇の精』の衣装は、敬太さんらしさが発揮された素晴らしいものでした。私がやろうすることのエッセンスを汲み取りつつ、独自のセンスで作品の世界観を表現してくれるのです。今回は4作品。観客の皆様には、敬太さんの衣裳にも注目いただきたいです」

 


EVENT INFORMATION
L’ART GROUP presents「ローラン・プティ HOMAGE『INFINITY -PREMIUM BALLET GALA 2023-』」

2023年7月31日(月)東京・新宿文化センター 大ホール
開場/開演:18:00/19:00
チケット(税込・全席指定・特製プログラム付き)SS11,000円、S9,000円、A7,000円

芸術監督:草刈民代
振付指導:ルイジ・ボニーノ
振付:中村恩恵
衣裳:丸山敬太
出演:
加治屋百合子(ヒューストン・バレエ)、石原古都(カナダナショナルバレエ)、佐々晴香(ノルウェー国立バレエ団) 、秋山瑛(東京バレエ団)、大谷遥陽(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)、木本全優(ウィーン国立バレエ団)、江部直哉(カナダナショナルバレエ)、ハリソン・ジェイムス(カナダナショナルバレエ)、玉川貴博(元東京バレエ団)、三森健太朗(スウェーデン王立バレエ)、太田倫功(ボルドーオペラ座バレエ)
※出演ダンサーは現在の予定です。変更の場合がございます。

上演作品:
『ゼンツァーノの花祭り』
『ドリーブ組曲』ジョセ・マルティネス
『ドン・キホーテ』ヌレエフ版
『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
『ダイヤモンド』「ジュエルズ」より ジョージ・バランシン
『エチュード』中村恩恵
『ミラージュ』セルジュ・リファール
『枯葉』
「ザ・フォーシーズンズ」より『春』
『レダと白鳥』「マ・パブロワ」より
『アルルの女』よりパ・ド・ドウ
『モレルとサン=ルー侯爵』「プルースト 失われた時を求めて」より ローラン・プティ

お問い合わせ:ディスクガレージ
https://www.diskgarage.com/

公演公式HP
https://classics-festival.com/rc/performance/infinity-premium-ballet-gala-2023/

チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2312956
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/3852820001
ローチケ
https://l-tike.com/order/?gLcode=35981

主催:INFINITY BALLET GALA 2023 実行委員会
特別協賛:L'ART GROUP
協賛:リーチフェイス株式会社
企画制作:RENAISSANCE CLASSICS