キング・オブ・ロックンロールの人生を描いた映画
〈キング・オブ・ロックンロール〉ことエルヴィス・プレスリーの人生を、「ムーラン・ルージュ」(2001年)や「華麗なるギャツビー」(2013年)などで知られるバズ・ラーマン監督が映画化した「エルヴィス」。注目のエルヴィス役を、次世代のスター候補であるオースティン・バトラーが熱演しているほか、悪名高い強欲マネージャーであるトム・パーカー役を名優トム・ハンクスが担当。劇中では、エンターテインメントに命を捧げたエルヴィスの壮絶な生き様が、伝説のパフォーマンスの数々とともに描かれていますが、鑑賞後はエルヴィスのファンはもちろん、そうでなかった人も彼が残した音楽や映画を改めて味わいたくなる仕上がりとなっています。
映画の世界に浸かれるサウンドトラック
まず、本作のオリジナルサウンドトラックは、エルヴィスのオリジナル曲に加えて、“Hound Dog”をリイマジネーションしたドージャによる“Vegas”やエンドロールで印象的に流れるエミネム&シーロー・グリーンによる“The King And I”などを収録。なお、オースティン・バトラーによる歌唱曲は、プロのミュージシャンによる楽曲と並んでも全く遜色なし。映画の世界観に浸かりたいならば本作がオススメです。
VARIOUS ARTISTS 『Elvis (Original Motion Picture Soundtrack)』 House Of Iona/RCA/ソニー(2022)
本物のエルヴィスのパフォーマンスを映像作品で楽しもう
また、劇中に登場したいくつかのパフォーマンスの模様は実際に映像化されており、ロックンロール界のパイオニアではなくなっていたエルヴィスが完全復活を遂げた伝説的なライブは、DVD「’68カムバック・スペシャル」にて鑑賞可能。真っ白のスーツを纏い、〈ELVIS〉の文字がデカデカと光り輝く赤の電飾セットをバックに熱唱する“If I Can Dream”など、歴史に残るステージが堪能できます。
そして、後年熱を注いでいたラスベガス公演はドキュメンタリー映画「エルヴィス・オン・ステージ」にパッケージ。スタジオやバックステージでのフレンドリーなエルヴィスから、これぞ〈エンターテイナー〉とも言うべきステージングで拍手喝采を受けるエルヴィスまで、さまざまな表情の彼を観ることができますが、「エルヴィス」で初めて知って衝撃を受けたという人も多いであろう、ステージを降りて客とキスし続けるエルヴィスの姿ももちろん映し出されています。
さらに、70年代に行なったコンサートツアーに密着したドキュメンタリー映画「エルヴィス・オン・ツアー」では、「エルヴィス」で何度も登場する演出〈スプリットスクリーン(分割画面)〉が印象的に使われているので、ファンならばニヤリだったのではないでしょうか。
ほかにも、大量のCDやレコード、主演を務めた劇映画などが発売されており、〈エルヴィス沼〉が尽きることはありません。
オースティン・バトラーとトム・ハンクスの関連作にも注目
ちなみに、エルヴィス以外の関連作だと、オースティン・バトラーはクエンティン・タランティーノ監督作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年)に出演、ラストでブラッド・ピット演じるクリフ(と愛犬)にボコボコにされるアイツです(笑)。
クエンティン・タランティーノ, レオナルド・ディカプリオ, ブラッド・ピット 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(2020)
あと、トム・ハンクスが初めてメガホンをとった96年の青春音楽映画「すべてをあなたに」(大傑作!)では、トム自身は劇中に登場するバンドのマネージャー役で出演していますので、見比べてみるのも面白いかも。と思ったら、DVDが現在廃盤状態……。日本版Blu-rayも未発売だし、「エルヴィス」のソフト化の際にはぜひとも実現していただきたい!
FILM INFORMATION
エルヴィス
監督:バズ・ラーマン(「ムーラン・ルージュ」)
出演:オースティン・バトラー(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」)/トム・ハンクス(「フォレスト・ガンプ/一期一会」)/オリヴィア・デヨング(「ヴィジット」)/コディ・スミット=マクフィー(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)
配給:ワーナー・ブラザース映画
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2022年7月1日全国公開