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素の自分を思いつくままに歌詞で表現

アルバムはラウヴ節とも言える歌い方が印象に残る“Stay Together”、ラップミュージックからの影響を感じさせる“Summer Nights”と続いていくが、8曲目の“Time After Time”はそこまでと雰囲気が大きく変わり、非常にエモーショナルな1曲だ。

「ファルセットに思いを込めた、僕のお気に入りの1曲だよ。このボーカルパフォーマンスにはすごく満足している」。

『All 4 Nothing』収録曲“Time After Time”

9曲目“Hey Ari”は、「取り繕った表情もバレてるよ。なあ、アリ(ラウヴの本名)、お前は幸せなのか?」と自問するフォーキーなバラード。

「あまり考えすぎないで、そのときに感じていたことを自然に歌にしただけなんだ。今回はラップで言うところのフリースタイルみたいに、考えすぎることなく出てきた言葉をそのまま歌ったものが多い。ラップは全然上手くないからダメだけど、マイクを手にして思いつくままに歌詞を書くという方法で何曲か書いてみたら、それが功を奏して、飾らない自分、素の自分を表現することができた。これもそんな1曲。作り込みすぎないことがよかったんだ」。

『All 4 Nothing』収録曲“Hey Ari”

10曲目“Better Than This”は、聴くほどに深く沁みる曲。ラウヴはこう説明する。

「恋愛の関係で感じることを歌っている。自分はベターなパートナーになれるはず。でも相手は自分よりもいいパートナーを見つけてしまうんじゃないかと考え、気持ちが塞いでしまったりもする。そういう現実を歌にした」。

『All 4 Nothing』収録曲“Better Than This”

 

心からのボーカルパフォーマンス

11曲目“Bad Trip”は、これまでのラウヴの曲にはなかったロック色の強い曲で、かなり驚かされる。

「うん。確かにこれまでの僕の曲とはだいぶ違う。若い頃にはこれよりもっとヘビーなロック……ハードコアとかスクリーモを聴いていた時期があったんだけど、歌詞はそういう曲からの影響もあるかな。自分が抱える問題に向きあった曲で、アルバムのなかでもダークな側面を担っている」。

『All 4 Nothing』収録曲“Bad Trip”

続く12曲目“I (Don’t) Have A Problem”もなかなか衝撃的だ。ラウヴのボーカルがなんとも絶望的な感情を表現しているのだ。しかし本編最後の“First Grade”で僕たち聴き手は救われた気持ちになる。メロディーのよさとラウヴのエモーショナルなボーカル。それだけのシンプルな曲なのだが、シンプルなだけに感動が深い。

「確かにとても特別な曲になった。相手に対するメッセージとして書いたんだけど、同じくらい、自分自身に向けてのメッセージになった気がしている。歌も心からうたえた。誇りに思えるボーカルパフォーマンスができたと自負しているよ」。

『All 4 Nothing』収録曲“First Grade”

ファーストアルバムよりも遥かに多彩で、ドラマチック。とりわけボーカルパフォーマンスに進化を感じられる曲が多く並んでいる。ラウヴ、新章。ツアーの発表も楽しみに待ちたい。

 


RELEASE INFORMATION

LAUV 『All 4 Nothing』 Lauv/VMLAS/ユニバーサル(2022)

リリース日:2022年8月5日
品番:UICB-1014
価格:2,750円(税込)
配信リンク:https://virginmusic.lnk.to/LV_KABS

TRACKLIST
1. 26
2. Stranger
3. Kids Are Born Stars
4. Molly In Mexico
5. All 4 Nothing (I’m So In Love)
6. Stay Together
7. Summer Nights
8. Time After Time
9. Hey Ari
10. Better Than This
11. Bad Trip
12. I (Don’t) Have A Problem
13. First Grade
14. Forever ※
15. Dream (Demo) ※
※日本盤CD収録ボーナストラック

 


PROFILE: LAUV
米LAを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサー。2015年にアーティストとしてのキャリアを始動し、NY大学在籍時に発売したシングル“The Other”がバイラルヒットしたことをきっかけに注目を浴び、その後リリースしたシングル“I Like Me Better”はSpotifyのみで10億回の再生回数を記録。プレイリスト『I met you when I was 18.』を発表した2018年には、エド・シーランのツアーのサポートアクトも務め、2019年にはトロイ・シヴァンを迎えたシングル“i’m so tired...”、アン・マリーとの“fuck, i’m lonely”をリリース。2020年にはBTSらとのコラボ曲も収録した待望のデビューアルバム『~how i’m feeling~』をリリースし、見事全米チャートトップ20入りを果たしている。