わたくし奥冨が、今聴いているアーティストや作品について愛情たっぷりにお伝えしていく連載〈BOY 奥冨直人の宇田川放送委員会〉。第20回目となる今回は、節目となる回に相応しい3組を。

Khaki 『頭痛』 (ァ)柿印(2022)

1. Khaki『頭痛』
昨年より本格的に始動した東京の4人組バンド。危うげで虚ろげでありながら、圧倒的にメロディアスでポップに落とし込む力量と、持ち寄った空気感が美しいバンドです。“Kajiura”のMVを観て、その中毒的でスレスレなポップとどこか温かいノスタルジアに安心しました。この最新EPはメランコリーな気配とオルタナティヴ・ロックの鬱屈とした交差が心地良い一枚。今一番観たいバンドと言っても過言ではないです。

Kaho Matsui 『S/T』 Norm Corps(2022)

2. Kaho Matsui『S/T』
ポートランドを拠点に活動するコンポーザー。ハイペースな制作・リリースと、アンビエント/ブレイクコア/ノイズ……と果てしなく飛び回る音世界。包容感と攻撃性を兼ねた特異なサウンドメイクは、日本国内でもさらに知れ渡っていくでしょう。今年リリースの2作、近未来とネイチャーが共存するような『S/T』、暗闇から光を探るようなすさまじいノイズが響く『Hell Is A Lifetime Of Enduring』はいずれも必聴。

太田ひな 『Be Your Light』 Hina Ohta(2022)

3. 太田ひな “Be Your Light”
東京を拠点に活動するシンガー・ソングライター。ライヴはソロ/バンド/ラップトップ編成と、ひとつの形に囚われないスタイルで行っているようです。この最新シングルで存在を知り、そのウィスパー・ヴォイスと洗練されたメロディーセンスにハッとしました。ポップスとして成立しながら、細かいサウンド・アレンジが何度聴いても楽しいです。ライヴの空気を自分自身どう受け取るかも気になっています。

 


奥冨 直人(BOY)
平成元年・埼玉県生まれ。ユースカルチャーを発信するファッションと音楽のコンセプトショップ〈BOY〉を2009年渋谷円山町にオープン。2014年に現在の宇田川町店舗に移転・独立。現在スペースシャワーTVにて配信番組「スペトミ!」のVJを担当。DJやスタイリングなど日々の活動は多岐にわたり、どんな時代も楽しく暮らしている。