70~80年代のホールやスタジオの空気感が、SACDハイブリッドでリアルによみがえる!

 ビクターJVCは、1970~80年代にかけて、ジャズ・フュージョンの名盤を精力的に制作していた。今回の〈JVC JAZZ MASTERPIECE SA-CD HYBRID SELECTION〉は、その中から3タイトルを選び、SACD/CDのハイブリッド盤でリリースする、という、タワーレコードのオリジナル企画だ。監修はオーディオ評論家の和田博巳氏で、12月7日に『デイヴ・グルーシン/マウンテン・ダンス』(1980)、『サリナ・ジョーンズ・ウィズ・スタッフ/マイ・ラヴ』(1981)が、12月21日に 『アート・ペッパー/ザ・コンプリート・トウキョウ・コンサート1979』(4枚組)が発売される。

 『マウンテン・ダンス』と『マイ・ラヴ』のアナログ盤リリース当時20代前半のフュージョン小僧だった私としては、懐かしいやら嬉しいやらでついにやにやしてしまう。グルーシン、ハーヴィー・メイソン(ドラムス)、マーカス・ミラー(ベース)などの腕利きたちが一発録音で仕上げた『マウンテン・ダンス』のサウンドは、実に新鮮で空間が広い。84年の映画『恋におちて』で使われたタイトル曲、アール・クルーやリー・リトナーでも有名な“キャプテン・カリブ”の作曲者ヴァージョンなど、何度聴いてもいい気持ちになる傑作。

DAVE GRUSIN 『Mountain Dance』 ビクター(2022)

 70~80年代に日本で人気絶頂だった歌手、サリナ・ジョーンズの『マイ・ラヴ』は、同じ時期に来日していたサリナとスタッフがビクター・スタジオで録音した作品で、これぞ歌伴のお手本という素晴らしい演奏を聴かせてくれるスタッフと共に、サリナがそこにいるような生々しい声で歌う。 

SALENA JONES 『My Love』 ビクター(2022)

 『アート・ペッパー/ザ・コンプリート・トウキョウ・コンサート1979』は、ペッパーの3度目の来日公演の様子を収めたコンプリート版。会場は東京郵便貯金ホールで、つややかな音色で多彩なレパートリーを演奏するペッパーと、ジョージ・ケイブルス(ピアノ)、トニー・デュマス(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)の堅実なバッキングが、ホールの空間が見えてくるような音で再現される。

ART PEPPER 『The Complete Tokyo Concert 1979』 ビクター(2022)