コラム

鈴木昭男、恩田晃 『マタタビ』

耳が切り取ったランドスケープ(ス)が作るサウンドスケープ

 鈴木昭男恩田晃のコラボレーション。2013年夏、ベルギー・ブリュッセルの工場跡地で創りだされた二人のライヴ・パフォーマンス。木や石といった日常的な音素材、ラジオやカセットなどの電子音素材、さらには自作の楽器などありとあらゆる音素材が盛り込まれた。そこで発生する音の化学反応。アコースティックな噪音とエレクトロニックなドローンとが交わる。反響する破裂音、深淵なノイズ、「濃厚な音」が空間を満たしていたのではないだろうか。

鈴木昭男,恩田晃 マタタビ ORAL(2014)

※試聴はこちら

 Tr.1《ta bi no ha zi ma ri》。川のせせらぎのような音からはじまり、その中を縫うようにちりばめられた金属音。金づちで打ちつけるような音も現れ、それらは次第に溶け合い膨張し“大きな”ノイズ音へと発展していく。

 Tr.2《do ko ka ra》。前トラックから引き継がれたノイズは次第に高音部が強められグラスハープのような美しいハーモニーに変容していく。軽やかな金属音も入り混じりながら涼しげで綺麗な音が全体を支配する。

 Tr.3《ma ta ta bi》。全21分にして表題曲でもありメインとも思えるトラック。深淵な音。筆舌には尽くし難いのでこれは聴いてからのお楽しみに。

 Tr.4《do ko e》。4分弱という非常に短いトラックでは「声」がメインとなっている。

 Tr.5《 fu ta ta bi》そしてTr.6《ta bi no ha te》。2トラックを通して23分間、様々な音素材がより濃密に絡まりあっていく。それはさながら(彼らの言を借りれば)「浄化」。神聖さすら感じてしまう音楽だ。

【参考動画】鈴木昭男による三重県立美術館でのソロ・パフォーマンス映像

 

 実際は3時間ノンストップで行われたというこのパフォーマンスを70分6トラックにまとめた本作。確かに全てが収録されないことにもったいなさは少なからず感じる。しかしCDという濃縮された音楽作品になっても、否、なったからこそ活きた作品にもなっていると僕は思う。

【参考動画】恩田晃による2004年ブリュッセルでのソロ・パフォーマンス映像

 

LIVE INFORMATION

〈鈴木昭男/恩田晃デュオ・パフォーマンス〉

日本を代表するサウンド・アートの先駆者、鈴木昭男(すずきあきお)とニューヨークを拠点に世界中で活躍する恩田晃(おんだあき)が、原美術館で一夜限りのパフォーマンス!

日程:9/20(土)17:00開場 17:30開演
出演:鈴木昭男、恩田晃
会場:原美術館ザ・ホール

http//www.haramuseum.or.jp/

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