新曲メインのアルバムとしては『Shifty Adventures In Nookie Wood』(2012年)ぶりの新作。ヴェルヴェッツのオリメンで実験音楽の巨匠……という形容に敷居の高さを感じる人もいるかもしれないが、多様なフィールドで実験的な表現が普通になった現代の目線から見れば、社会情勢を眺めて綴ってきたというリリックの重さこそあれ、特に今回のアルバムはある種の親しみやすさを纏って響いてくるはずだ。冒頭の表題曲からローレル・ヘイローと組み、アクトレスやアニマル・コレクティヴ、シルヴァン・エッソら後進が深い洞察やスピリチュアルな表現に呼応する。なかでも素晴らしいのはワイズ・ブラッドと歌う“Story Of Blood”。そしてやはりルー・リードやボウイを思い出したりする部分もあるのであった。
ジョン・ケイル(John Cale)『MERCY』ワイズ・ブラッドやアニマル・コレクティヴが呼応 ヘビーだが親しみやすい10年ぶりのオリジナルアルバム
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