――これはわれわれにしかないものだとハッキリ言い切れるDEENならではの強みというと?

池森「DEENというプロジェクトに携わっている者全員の思いの強さですかね。僕だってDEENのプロジェクトの一員だし、あくまでもヴォーカリストを担当しているにすぎない。そういうチームのメンバーそれぞれがプロフェッショナルな仕事を成し遂げながら、目的に向かって進んでいく。大事なのは、そこではみんなそれぞれが好きにやっていたりするってことで、この現場楽しい!みたいな表情がうかがえるんです。そういう絶妙なバランスのうえに成り立っているのって、DEEN以外にないような気がするんですよね」

山根「みんなが愛してくれるプロジェクトだと強く感じますね。あと毎年休まず作品作りができて、ライヴがやれているところも素晴らしいところかな」

池森「だからDEENのことをつねに俯瞰してみれるんですよ。結成時から変わることなく。もしも自分で詞も曲も書いて、ってスタイルで、自分の思い描くままを形にするべくデビューをめざす、ということだったらぜんぜん違った未来が待っていたと思うんです。プロデューサーから、試しにこの曲歌ってみてと言われレコーディングした結果、“このまま君だけを奪い去りたい”はお前でいく、という話になって……って具合に、奇跡的としか思えない感じでキャリアがスタートしていますから。そのときから、自分たちの力だけで売れたわけじゃないからな、って語りかけてくるもうひとりの自分がずっといる。最初僕らは、これからDEENをこうしていこう、っていう明確なヴィジョンを持てていなかった。そんななかでいろいろと模索しながらやってきた結果が現在であり、チームワークの良さにもつながっていると思います」

――DEENにとって年を取ること、成長していくことってどういう意味を持つのかなと。

池森「先に向かって進んでいるイメージとしては、DEENという乗り物に乗り込んで進んでいる感じかな。成長っていうことが何を指すのかわからないけど、とにかく僕はこのプロジェクトに成長させられていることだけはたしかです」

――ちなみに乗り物の同乗者としては、変わらぬ味を大事にする、ってことが共通認識だったりするのでしょうか。

池森「進んでいくにあたって大きかったのは、みんながDEENをやっていくにあたって謙虚な姿勢であり続けられたこと。とにかくDEENを動かすにあたって謙虚という思考は必要不可欠なもの。誰かひとりが、どうしてもコレをやりたいんだ、といったエゴを押し付けるようなこともなく、みんなで相談しながら、どうやったらDEENをより良いものにできるか、と試行錯誤を繰り返したことで、現在それぞれの役割分担ができたような気がするけどね」

――『DEEN The Best DX ~Basic to Respect~』に新曲“RUN RUN RUN”が収められていましたけど、スカっぽい弾力のあるリズムに瑞々しいメロディーが映えるアップ・チューンになっていて、こういう若々しい風をいつまでも吹かせられるのがDEENなんだよな、とつくづく感じさせられました。

山根「池森が歌えばそれはもうDEENになる、という基本事項に則りながら、いろんな実験にチャレンジできるのがわれわれの強みなんです。いろんなジャンルにアプローチしてきたけど、こだわりなくイイものはイイ、という柔軟な姿勢でいつも楽しんでやってます。こだわりは?ってよく訊かれるんですけど、ウ~ンって答えに窮してしまう。こだわりを示すよりも、自分たちは好きでやってますよ!という部分を見てもらうほうが楽しんでもらえるんじゃないかな、と思いますけどね」

――おふたりが楽しんでやっているという最新報告として、今回のライヴがあると思います。

山根「これはもう僕たちがいちばん楽しみにしていますから。とにかくオーケストラ・アレンジがどのようになっているのか。全体で合わせるのが前日のゲネプロなので、観客の皆さんとほぼ同じような新鮮さで曲と触れ合えるわけです。もちろん本場に向けて先方とは密にキャッチボールしていくし、こちらもシンセを代用したりしながらイメージを掴んでいくつもりですが、いつもと比べて40人も多くバックに演奏者がいるわけで、何百回とやってきた曲もかなり違った印象になるはずだと思うんですよね」

――そこには楽曲の新しい側面を発見しうる経験だって待っているかもしれない。

池森「これで味をしめて、フル・オーケストラのアルバムを作りたい、って気持ちになるかもしれないですね」

――そういうたしかな手ごたえを得られる素晴らしいライヴになることをこちらも期待しております。本日はありがとうございました。

 


LIVE INFORMATION
30th Anniversary Celebration『DEEN Premium Symphonic Concert -WINGS TO THE FUTURE-』

■大宮公演
2023年6月17日(土)埼玉・大宮 ソニックシティ 大ホール
開場/開演:15:00/16:00

■大阪公演
2023年6月22日(木)大阪・中之島 フェスティバルホール
開場/開演:18:00/19:00

指揮:西谷亮

■管弦楽
大宮:パシフィックフィルハーモニア東京
大阪:日本センチュリー交響楽団

公演公式HP:https://classics-festival.com/rc/performance/deen-2023-symponic/