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フー・ファイターズが証明したロックバンドの素晴らしさ

初日深夜のオーヴァーモノで飛び跳ねつつ、夜が明け2日目へ。フレッシュなベニー、d4vdは共にTikTokなどを通じたバイラルヒットを経て脚光を浴びたアーティストだ。2組のフジロックのステージは、対極ながら初見のリスナーを圧倒する内容であった。

“Supalonely”をクライマックスにエレポップ〜ニューウェイブな楽曲をキュートに届けたベニー。オルタナロックな“You And I”をスタートダッシュに2020年代を象徴する“Romantic Homicide”まで、ロックとR&Bを自由に行き来するd4vd。勢い任せな部分含め、それぞれまた単独公演でも観てみたいと思わせるステージだった。

2日目は全体を通して女性アーティストの音楽に酔いしれる日となった。GREEN STAGEでこの日誰よりも楽しそうに演奏していた羊文学、2010年代初頭にデビューしていながらこれが初来日&初フジロックのワイズ・ブラッド、そして90年代、今に続く女性シンガーソングライター/ガールズロックに多大な影響を与えたアラニス・モリセット、真夜中の苗場に独自のクラブカルチャーを築いたロミーと、どのステージもいまだその興奮が忘れらない。

ロミー
🄫Masanori Naruse

スロウダイヴ
🄫Yuta Kato

スロウダイヴの洗練されたフィードバックノイズを少し浴びたのち、満を持して臨んだフー・ファイターズのステージからは、仲間との絆、そしてロックバンドの本質を見せつけられた。余計な前置きなし、いきなり“All My Life”から幕開けたライブは随所でシンガロングが巻き起こる。

誰もが気にしていたであろう亡きテイラー・ホーキンスへの想いも、今年リリースされたばかりの最新作『But Here We Are』の楽曲を中心に、苗場の山々に向かって高らかに放たれた。途中、フジロック開催の数日前に亡くなったシネイド・オコナーへの追悼の念も込め、アラニス・モリセットを迎えてシネイドの“Mandinka”をカバーする一幕も。アラニスの力強い歌声、ジャムセッションにも近い雰囲気で盛り上がるバンドのサウンドが傷ついた人達の心を癒していく。

フー・ファイターズ
🄫Taio Konishi

〈フー・ファイターズの7人目のメンバー〉と冗談まじりに紹介されたゲストのパトリック・ウィルソン(ウィーザー)とは“Big Me”を披露。ウィーザーではドラマーであるパトリックだが、パット・スメアに代わってギターを務める姿はなんとも愛おしかった(曲の最後にはパットがサポートに入るシーンも)。最後は大合唱となった“Best Of You”と“Everlong”で完全燃焼。ロックバンドはこんなにも素晴らしい、フー・ファイターズはいつもそれを証明してくれる。

フー・ファイターズ
🄫Taio Konishi