K-Popのゴッドファーザーがついに帰還! 新天地で野心的な挑戦を繰り広げた待望の新作『Übermensch』は新たな始まりの予感を圧倒的に証明している!
シーンのパイオニアとして
どのシーンでも流行の移り変わりが速い昨今、それでも彼がK-Popのキングであり、ゴッドファーザーとして敬意を集めているのは確かだ。2000年代半ばから絶大な人気を博したBIGBANGのリーダーとして、あるいはソロ・アーティストとしても成功を収めてきたG-DRAGON。若くしてクリエイティヴな主導権を獲得し、人気アイドルや才能あるソングライターという枠を越えたトレンドセッターとして、音楽やファッションの方面で世界に挑戦し、後進に道を拓いてきた人である。韓国産のアーティストが次々に全米進出できるような時代になる前から、そうしたグローバルな基準に向けて突破口を開いてきたパイオニアであり、それゆえにK-Popのフィールドを超えて支持されてきたのだ。
もともと小学生の頃にウータン・クランを聴いてラップを始め、13歳の頃にはラッパーとして世に出ていた彼は大手事務所のYGと契約し、2006年にBIGBANGが結成されると、すぐに制作面でもグループをリードする存在となる。BIGBANGは2008年の『For The World』で日本進出し、翌年には日本でメジャー・デビュー。まだ〈韓流〉と呼ばれていたいわゆるK-Popブーム前夜に日本でも支持基盤を築き上げた。並行してG-DRAGONは本国でソロ・デビューすると、グループ以上にエッジーな方向性を打ち出していく。なかでも2013年のセカンド・アルバム『Coup d’Etat』ではディプロやバウアー、ボーイズ・ノイズらを制作陣に迎え、ミッシー・エリオットを招聘。そうしたコネクションはメジャー・レイザーやスクリレックス、バウアーの楽曲に参加するまでに広がった。一方ではYGの後輩にあたる2NE1やiKONのプロデュース、IUやZion.Tらとのコラボなどを通じて国内でも存在感を大きくしていく。そんななか、2017年にはミニ・アルバム『KWON JI YONG』をリリースするが、翌2018年から兵役義務を果たすことになり、結果的に音楽活動の休止は4年間に及んだ。2023年には長く在籍したYGから独立を発表。そして今回完成させたのが、『KWON JI YONG』から数えて8年ぶりの新作となった『Übermensch』である。
