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自分の本音を伝えたい

脇田もなり 『UNI』 HIGH CONTRAST/ヴィヴィド(2023)

 その『UNI』は、前述した“PLACE”以降のシングル曲のほか、ディスコティークなタイトル・チューン“UNI”、ラヴァーズ・ロック“めくる Make Love”、極楽感が漂うスロウ・バラード“Sweet Pain”など新曲4つを含めた全8曲。トータル33分ほどというLP時代を思わせる凝縮されたサイズ感だが、失われた時間を取り戻すかのようにがっつく必要はなく、いま現在持ち合わせた器量で素直に表現するということを大切にしたがゆえの33分なのだろう――全編にわたって緩やかなアップ&ダウンを繰り返しながら気分良く歌う彼女の姿からは、そんなことも想像できる。

 「テーマ的には、内に秘めた思いみたいなところを表現したかったんです。Dorianさんともけっこう深く会話したんですよ。哲学的なこととか、観念的なこととか……とは言っても、難しい感じではなくて。作品の成り立ちから関わったのが初めてなので、できるだけ自分の本音を伝えたい、自分の感情的な部分に焦点を当てたいなって。そのおかげで、Dorianさんの音作りも、いまの私の気分や伝えたいニュアンスをすごく素敵に、表情豊かに表現してもらえたなぁと思います。歌詞を書いていただいたYURINA(da GOLD DIGGER)さんも、いまの私をよく汲み取ってくださって。やはり皆さんとの信頼関係は大きくて、皆さんがいなかったら作れなかった。いままで以上に〈自分〉を表現できたアルバムではあるけれど、時間をかけて関係性を築いた人たちとの〈チーム〉で作ったアルバムでもありますね」。

 と、ご満悦の作品となった『UNI』。このアルバムを作り上げたことによって見えたものは、もはや明るい未来しかなさそうだ。

 「『RIGHT HERE』の時、 〈けっこう自信がある〉ってインタヴューとかですごく言ってたんですけど、たぶんそれって、呪文のように自分に言い聞かせて強がってたと思うんです。今回は、 本当に穏やかな気持ちで作れたし、一曲一曲に思いが詰まってる。あの頃よりも自分がだいたいどんな人かわかったっていう感じなのかな(笑)。だから、これからの音楽人生、ちょっとやそっとのことではへこたれないと思います」。

『UNI』に参加したアーティストの関連作。
左から、Magic, Drums & Loveの2023年のシングル“東方魔時空”、冗談伯爵の2020年作『ONE』(共にHIGH CONTRAST/ヴィヴィド)

 


LIVE INFORMATION
〈MONARI WAKITA "UNI" Release Party〉

2023年9月17日(日)大阪・NOON
https://tiget.net/events/260159

〈MONARI WAKITA 7th Anniversary & "UNI" Release Party〉
2023年9月23日(土)東京・代官山 SPACE ODD
https://eplus.jp/monariwakita/