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稽古に集中して作り上げた独特の空気

――たしかに拝見すると、今回は序盤からおふたりの自然な会話が印象にあって。こういうのも変ですが、どこまでが台本なんだろうと思うような雰囲気で。

設楽「うんうん。たしかに観に来てくれた人たちも、僕らがやっている空間がすごく楽しそうだったって言ってくれて」

日村「でもね、あのオープニングのコントは、もう完全に台本なんですよ。もう一言一句。というか基本全部そうで、そんなにアドリブぶちかますようなことはない」

設楽「うん。アドリブというのは昔からやらないです。基本、台本を書いて日村さんに渡して、練習していて面白かったら足していくから、そこも全部台本になるんですよ」

日村「そう、当日に思いついたことを急に言い出すみたいなことはまずやらないんですよ。ただネタによっては、さっき言った通りちょっと間(あいだ)でもう一回同じことを言ってみたとか、〈今ちょっとなんかニヤっとしたけど〉みたいなことを言ったりする雰囲気はありますけど、大きく外していくようなことはやらないですね」

――あの〈O〉の雰囲気は稽古で練り上げられていった結果なんですね。ちなみに、その稽古の期間もいつも通りでしたか?

設楽「大体決まっているんですけど、最初にチラシみたいなのを作ったりするのが2ヵ月ぐらい前か」

日村「6月ぐらいだね」

設楽「タイトルは〈O〉に決まっていたけど、そこからメインビジュアルとタイトルから、なんとなくのライブの色やオープニングネタを考え始めて、1ヵ月ちょっと前ぐらいから稽古場に入る」

日村「だから5週間ぐらい」

設楽「そうだね。その前に俺とオークラともうひとり作家の永井(ふわふわ)で、日村さんには内緒でネタ出しをやって。日村さんはもう大先生なので(笑)」

日村「やめてよ(笑)」

設楽「その場に日村さんが来ていただいても、別に意味ないし(笑)」

日村「大先生に対する言い方じゃなくなってきたな(笑)」

設楽「まあそうやって、5月の連休のあたりで〈もうそろそろ始めなきゃな〉っていう感じ」

日村「毎年、ラジオ(TBSラジオ『バナナマンのバナナムーンGOLD』)のスタジオで設楽さんの発表があるんですよ。〈単独やります。今回のタイトルは『O』です〉って。僕はそれ待ちだったりするから」

設楽「もちろんそのもっと前から準備はしていますよ。グッズとかも発注が間に合わなくなっちゃうし。とはいいつつ〈やるよ〉ってなるのが1ヵ月前からで、そうすると、そこらへんから仕事が急に忙しくなるんですよ。ライブのために寄せるから」

日村「稽古に集中できるようにね」

設楽「それで、本番1週間前とかになると稽古に集中できるように結構空けてくれるんですけど、実はその前の週とかがいちばん作業したいのに、〈こんなんじゃできないよ!〉っていうぐらい寄せられるの」

日村「めちゃめちゃ仕事が入るんだよね」

設楽「もうここ十数年そんな感じ。フジテレビ系列『ノンストップ!』もあるから徹夜もできないし。オリンピックとかワールドカップとかが始まると、そういうのも観たいじゃないですか。TVでもそういう話になるから多少観ていないといけない。ネタを作んなきゃいけないし、そういうのも観ないといけないので」

――それはかなり大変ですね。

設楽「そう、大変。でも大変つったって、結果いつも思うのが〈自分でやりたいつってやってんのに、何が大変なんだよ〉って(笑)。それで今回は、ラスト1週間前ぐらいにはもう本があって練習ができていたかな?」

日村「もっと早かった。だってラスト1週間は、なんなら明日本番やってもいいよね、ってぐらいの感じになっていたから。過去にもそんなことってないんですよ」

設楽「ラストの結構長いネタとかになると、例えばオークラが台本1本あげてきて、俺がまたそこから加えて返してという作業になるんですけど、そこで〈これ全没だな〉ってときもあるわけですよ。そうするとギリギリになっちゃう。だけど今回はそういうのがなかったし、ここ1、2年は〈これちょっともうナシで〉みたいなものがたぶんなかったんだと思う」

日村「細かいところはいろいろと手直しがあったけど、台本がボンってあがってきたのが本番2週間ぐらい前かな」

設楽「あとはいろんな人に力借りて、イラストや美術、音楽とか、今回はドラムの人を入れたりとか、分業で進めていって。昔はもう全部自分でやっていたわけですよ。そういうのを頼めるようになったりして、ほんと集中できる環境になって」

――なるほど。

設楽「衣装ひとつでも、昔は自分たちでああしたいこうしたいっていうのが、今はプロの衣装の人に〈こういうふうにしたいんだけど、なんかアイディアないかな〉って言って作ってもらったりとかができるようになったから、それでまたスムーズに進行していったっていうのもあるかもしれない」