(C)Orysmpus Knight / Aniplex・Project AZ

 

 ハードSF的な想像力に裏打ちされた緻密な設定と重厚な世界観、そして登場キャラ同士の意志や思惑が入り乱れる複雑な人間模様——これら「機動戦士ガンダム」などに代表されるリアルロボット系の特色をすべて備えたTVオリジナル作品「アルドノア・ゼロ」は、まさにロボット・アニメの王道を行く大作と言えるだろう。

あおきえい アルドノア・ゼロ 1 アニプレックス(2014)

 

 物語の軸となるのは地球と火星の対立。ただし、ここで登場する火星人とは、かつて(といっても数十年前に)地球から移民した人々の子孫であり、同じ人類だ。火星に眠っていた古代文明の超技術〈アルドノア〉を手にする彼らは、圧倒的な力でもって地球侵略を開始し、世界は戦火に包まれる。そこに火星側の貴族同士による利害の対立や謀略が絡み、壮大な群像劇が形作られていく。

 (C)Orysmpus Knight / Aniplex・Project AZ

 

 おもしろいのは、主人公と呼べる存在が地球側と火星側の両方に存在すること。それぞれの立場で戦場に立つ少年2人に、彼らと接点を持ち、戦争を止めるため懸命に立ち回る火星の皇女とのトライアングルが、この世界における正義のあり方を揺さぶっていく。さらにCGを駆使したロボット同士の重量感あるアクションも大きな見どころだ(特に火星騎士が搭乗するロボは、バリアやロケットパンチといった定番のスーパー兵器がリアルに描写されていて熱い!)。

 (C)Orysmpus Knight / Aniplex・Project AZ

 

 監督はTVアニメ「Fate/Zero」にて劇場作品クラスの映像美を実現したあおきえい。ストーリー原案は「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄(1~3話の脚本も担当)、キャラクター原案は「放浪息子」で知られる漫画家の志村貴子、音楽は「機動戦士ガンダムUC」「進撃の巨人」などで名を上げた澤野弘之と、超一級の才能が集結している。彼らが紡ぐ星を跨いだ一大戦記に、ぜひ心を奪われてほしい。

 

 

▼関連作品

澤野弘之による『アルドノア・ゼロ オリジナル・サウンドトラック』(アニプレックス)
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