2023年5月より休養のためバンドを離れていたベーシストの竹田綾子が復帰したことも関係しているのか、しなやかで活き活きとした演奏に耳を奪われる通算5作目。食べ物をモチーフにしながら、生きているがゆえのペーソスを滲ませる持ち前の俳諧精神は今回も冴え渡りつつ、重心の低い音作りには、いつにも増して〈かっこいいロック・バンド〉としての彼らが息づいていて、ハッとさせられた。ブラジルの風が吹く“イニョン”、彼岸で鳴っているかのような凄みを湛えたサイケデリックなバラード“うれいらずたのぼー”など名曲も多く、結成10年を超えた4人に新たな代表作が加わった。