いま、欧米とはひと味違ったカルチャーや環境をバックグラウンドに、独自の進化を遂げてきたアジアの音楽シーンが熱い。サブスクやYouTubeによって音楽のグローバル化が進むにつれ、オリエンタリズムの域を超えた新たな文化として世界的に注目されつつあるアジアの音楽をテーマに、2024年10月に開催を控えた4つのライブを紹介していこう。
まず紹介したいのは、Elephant Gymが10月14日(月・祝)にビルボードライブ横浜で開催する〈Elephant Gym “The Hidden World” Billboard Live〉である。Elephant Gymは、2012年に結成された台湾南部に位置する高雄出身の3ピースバンドで、台湾のポストロックシーンを牽引する存在としてメロディアスで浮遊感のあるサウンドが世界的に注目を集めている。
昨年リリースされたアルバム『WORLD』では、亀田誠治やTENDREといった日本のアーティストともコラボレーションしているところから、日本の音楽シーンとの共鳴が感じられるバンドだ。また活動の視線は日本だけでなく世界にも向けられており、アメリカでもCDとレコードをリリースし、14カ国を回り、およそ100公演におよぶワールドツアーを行うなど、すでに台湾を代表するバンドとなっている。
2020年の東名阪でのワンマンツアーを皮切りに〈FUJI ROCK FESTIVAL〉への出演も含め、日本でのライブを積み重ねてきたElephant Gym。3ピースとは思えない音の豊かさと、3人だからこその身軽さを体現した彼らのライブを、この秋ぜひ肌で体感してほしい。
続いて紹介するのは、10月22日(火)に東京、10月24日(木)に大阪で開催されるMONO NO AWAREのビルボードライブツアーだ。MONO NO AWAREは、ポストロックやインディーロックからの影響を感じさせながらも、ジャンルレスで一筋縄ではいかない自由なサウンドメイクが特徴の4人組バンド。一捻りも二捻りもある歌詞やメロディーラインは、聴くたびに新たな味わいが立ち上がってくる。
今年6月には前作から約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『ザ・ビュッフェ』をリリースしたばかりのMONO NO AWARE。同アルバムを引っ提げた全国ツアー〈アラカルトツアー〉を実施し、6月末には台湾で単独ライブを開催するとチケットは完売。9月には初の中国ツアーも成功させて迎える今回のビルボードライブツアーは、そうした経験で深化したバンドの現在地を確かめることができるそうだ。