ジャングルが〈GREENROOM FESTIVAL ’24〉へのヘッドライナーとしての出演(5月25日)、および単独公演開催(5月27日)のため来日。2つのライブを目前にした5月24日、タワーレコード渋谷店で行われたスペシャルサイン会の直前に同じフロアのアナログレコード専門店〈TOWER VINYL SHIBUYA〉でお気に入りの、あるいは気になったレコードをチョイスしてもらいインタビューをおこなった。
結成メンバーであるジョシュ・ロイド・ワトソンとトム・マクファーランド、そして2021年の“Keep Moving”以降、ジャングルに合流し、音源制作/ライブにおいて影響を強くしているリディア・キットの3人に選盤理由からレコードを巡るカルチャーについて話を訊いた。
ビートルズって無名なグループがいたんだけど
――みなさんどんなレコードを選びましたか? ジョシュさんはとても迷っているように見えました。
ジョシュ・ロイド・ワトソン「そうだね、じゃあ僕からいこうか。極めて無名なビートルズっていうグループがいたんだけど(笑)、今回選んだのは彼らの『Let It Be』(70年)というアルバムだよ。
というのも、この作品を制作しているときのドキュメンタリー(『ザ・ビートルズ:Get Back』)があって、ピーター・ジャクソンが復刻したものなんだけど、すごく興味深いんだ。彼らがどのようにこのアルバムを作ったのかについて深い洞察をもたらしてくれた。
それに“The Long And Winding Road”はこれまで生まれた音楽の中で最も悲しい曲の一つで、聴くといつも泣きそうになるんだ」
――名作ですね。トムさんは何を選びましたか?
トム・マクファーランド「実は今まで聴いたことのないレコードを選んだんだ。レコードショップに行くと僕はいつも視覚的に最も魅力的に感じるレコードを手に取るようにしている。
2010年にロンドンのレコードショップでテーム・インパラのファーストアルバム『Innerspeaker』(2010年)を手に取ったのもまさにそういうきっかけだった。ジャケットを見て〈これはなんだろう?〉と思ったんだ。〈彼らが何をこうやって視覚化したのか、自分の耳で確かめてみる必要がある〉ってね。それから彼らは僕のお気に入りのバンドの一つになったんだよ」
――トムさんが手に取ったのはイン・イン(YĪN YĪN)というバンドの3枚目のアルバム『Mount Matsu』(2024年)のようです。
トム「これが新たな美しい旅の始まりであることを願っているよ。エクスペリメンタルな雰囲気がするけどどうだろうね。音楽や絵画、本もそうだけど、先入観なしで体験するのが好きなんだ」
――いわゆるジャケ買いですね。ではリディアさんのチョイスを教えてください。
リディア・キット「私が選んだのはスティーヴィー・ワンダーの『Innervisions』(73年)。このアルバムで育ったんだ。学校に行くときによく車の中で流れていてね。
彼は世界で最もインスピレーションを与えてくれるミュージシャン/シンガーソングライターの一人だと思う。これまでももちろんそうだし、今後現れるアーティストにとってもすごく大きな影響を与えるだろうね。
特に彼はアルバムのほぼ全曲ですべての楽器を演奏している。本当にすごいことだよ。自分もいつかそういう作品を作ってみたい。彼のような存在になるのは難しいと思うけど(笑)」
ジョシュ「盲目(blind)だね(笑)」
リディア「(笑)」