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インタビュー

ジャングル(Jungle)『Loving In Stereo』ポスト・ソーシャルディスタンス時代のための開放的なサウンドトラック

©ANNA VICTORIA BEST

「半分ぐらいはコロナの前に完成していて、コロナ禍でもう半分を作り終えたんだ。すべてが落ち着いて、またライヴが再開できるようになる日を想定してね。たくさんの人の前でプレイされてこそ僕らの音楽だから」(ジョシュ・ロイド:以下同)。

 ライヴ時には7人編成の大所帯バンドにもなるジョシュとトム・マクファーランドのプロデューサー・デュオ、ジャングルの通算3作目『Loving In Stereo』は、そんなポスト・ソーシャルディスタンス時代のためのサウンドトラックだ。

JUNGLE 『Loving In Stereo』 Caiola/BEAT(2021)

 「常日頃から音楽を作っているから、アルバムのストーリーやコンセプトがまとまってきた段階で、それに合うトラックをそれまで作ってきたなかから選んでいくんだ。ノエル・ギャラガーにいつか言ってもらったことがある。〈ひたすら作り続けろ。そうすれば、しっくりくる時がやって来るから〉って。音楽作りには制限がないから、いじり続けようと思ったらいつまでだって手を加え続けられる。でも、作り込みすぎていないものに仕上げたい。だから時間を決めて、そのなかで完璧をめざすんだ」。

 2018年秋にリリースされた前作『For Ever』のコンセプトは〈世界が滅亡した後にラジオから流れる別れの音楽〉。奇しくもその状況がよりリアルに感じられる現在にあって、今回の新作『Loving In Stereo』は開放的で躍動感のある作品に仕上がった。

 「エネルギーに満ち溢れていて、ストレートなメッセージを持っているというのが今回の目標だった。アルバムの方向性はいつも直前の作品とは逆のものになるんだ。今回こっちの方向に行ったら、次はあっちの方向に行くという感じで。1作目『Jungle』(2014年)は僕らの青写真というか、アイデアとコンセプトを提示した。そして、2作目は1作目で表現できなかった感情の部分を出したくて、それぞれの個人的な物語も盛り込んだ。それに、失恋についてのアルバムだったから、3作目の今回は恋に落ちることについてのアルバムなんだ。だから、希望に満ち溢れているし、ポジティヴで前向きなんだよ」。

 選び抜かれたトラックに加え、マイケル・キワヌーカやリトル・シムズの作品で名を上げた旧友のインフローと共作した3曲もごく自然に馴染んでいる。

 「彼は前作でも一緒に仕事をしたんだけど、良い友人で良いプロデューサーだよ。このアルバムとは関係なく、LAで一緒に曲を書いたりもした。“Bonnie Hill”は彼がふらっと僕らのところに来て歌いはじめたメロディーが基になっている。それから“Dry Your Tears”は “Don’t You Cry Now”(日本盤ボーナストラック)っていう別の曲と繋がっているんだけど、どちらの曲にも同じストリングスを使っているから日本のファンにはそれを見つけてほしいな」。

 他にも“Romeo”には男性ラッパーのバス、“Goodbye My Love”には女性シンガーのプリヤ・ラグをそれぞれ起用。彼らの客演もまた作品に重要なエッセンスをもたらしている。これだけヴァラエティー豊かな楽曲群を抱えながらアルバム全体の曲順や展開がスムースなのも印象的だ。

 「彼女と散歩している時にアルバムを一度聴いてもらったんだけど、半分ぐらいまで来たところで〈ちょっと飽きてきたかも〉って言われたんだ(笑)。その言葉を聞いた以上、組み立て直すしかなくてね。曲を短くしたり、他の曲を加えたり、全体の構成を変えてみたり。そのおかげで、どんなアルバムでも収録曲のうち2曲がメインっていう場合が多いんだけど、このアルバムにはそれが8曲あって、エキサイティングな雰囲気がずっと続くんだ。僕らの最高傑作だよ」。

 最後に、アルバム・タイトルの由来について。

 「僕らが初めて一緒に書いた曲のタイトルが“Loving In Stereo”なんだ。別のバンドをやっていた14歳の頃のことさ。ただ、人や音楽に対しての〈愛〉というよりは〈希望〉とか、相手に何かを与えるという意味合いのほうが強いかな。ジョン・レノンみたいになっちゃうけど、世界はいま、そういう意味での〈Love〉を必要としているだろう?」。

 


ジャングル
ジョシュ・ロイド・ワトソンとトム・マクファーランドによるプロデューサー・デュオ。もともと友人同士だった両者によって2013年にロンドンで結成される。同年にチェス・クラブから発表した“Platoon”と“The Heat”が評価され、BBCの〈Sound Of 2014〉にノミネート。2014年にXLと契約して、“Busy Earnin'”などのヒットを収めたファースト・アルバム『Jungle』が全英7位を記録する。同年には〈フジロック〉出演のため初来日。2018年のセカンド・アルバム『For Ever』も全英10位を獲得している。その後、自主レーベルのカイオラを設立。先行カット“Keep Moving”“Talk About It”を経て、サード・アルバム『Loving In Stereo』(Caiola/BEAT)を8月13日にリリースする予定。

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