南ロンドン発、いわゆるウィンドミル界隈から登場したバンドだが、形式的な〈ポスト・パンク〉から逸脱していくクリエイティヴィティーは、脱退したネイマ・ボックのソロ作やメンバーの課外活動を見ても明らかなわけで、このサード・アルバムでも飽くなき実験精神が爆発している。ポイントは、過去2作を手掛けたダン・キャリーではなく、ランカムに代表される英~アイルランドのフォーク再興に貢献するジョン・スパッド・マーフィを共同プロデュースに迎えたこと。洞窟の中で響いているようなサウンド、生音と電子音のタペストリーが魔術的で、聴く者の感覚をグニャリと曲げる。