アヴァランチーズのサンプルデリアとK-POPのイージーリスニング
さらに数珠つなぎ的に、どうしても想起してしまうのがアヴァランチーズの“Since I Left You”(2000年)だ。この曲および同名のタイトルが掲げられたアルバムは、マイナーなレコードから取り込んだ膨大なサンプリング素材を織り上げて作られた偏執的な作品で、のちのサンプリングミュージックやインディダンスの発火点になり、多くのミュージシャンに影響を与えている。
彼らのサンプルにはドゥーワップ、ソウル、フュージョン、ディスコなどの曲も多数含まれているが、それらの切り貼りや早回し、ローファイな質感やアタック感の希薄さ、アナログ特有のクラックルノイズなどによって、ダンスミュージックでありながらも強烈なサイケデリア、陶酔感、ドリーミーな感覚が生み出されている点が大きな特徴である。K-POPのガールクラッシュの姿勢に反旗を翻したサウンド、NewJeansが始祖になったと言っていい、いわゆるイージーリスニングの音楽性は、アヴァランチーズのそれに通じるものがある。
甘い夢はいつか終わる、刹那的な儚さ
それと“Bubble Gum”では、カッティングのギターリフも耳に残る。プリンスの“Kiss”(1986年)なんかに近いソリッドで硬くて小気味よい音色だが、リズムはいかにもソウル/ファンク的。カーティス・メイフィールドの“Tripping Out”(1980年)や山下達郎の“あまく危険な香り”(1982年)といったメロウなものと比較するともう少しタイトではあるものの、シンコペーションを効かせたパターンで、それがグルーヴを増している。
ほかにも、敷き詰められたシンセサイザーの音やミニモーグ風の音色のシンセベースなど、3分20秒(NewJeansの曲にしては少々長い)の中に聴きどころが詰め込まれている。ただ、最初のコーラスが終わったあとのダニエル&ヘリンのディーヴァのごときパートが強いアクセントになっている部分を挙げるまでもなく、儚げな高音を中心にした5人のボーカルや、よく聴くとアリアナ・グランデっぽく歌い上げているバッキングボーカルが最大の魅力になっていることは重要だ。
甘い夢はいつか終わる、膨らませた風船ガムのように弾けて――と語っているかのような“Bubble Gum”の、あまりにも刹那的で非現実的な儚さは、NewJeansが当初から表現していた感覚ではあるものの、今回はそれが特に強く、悲哀すら伴っているかのように感じられる。
次の記事では、“How Sweet”のサウンドについて考えてみよう。
RELEASE INFORMATION

リリース日:2024年5月24日(金)
配信リンク:https://newjeans.lnk.to/howsweet_jpWE
TRACKLIST
1. How Sweet
2. Bubble Gum
3. How Sweet (Instrumental)
4. Bubble Gum (Instrumental)
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