暴動クラブは2022年春に本格始動するやいなや、都内の各ライブハウスを席巻。現在もビンテージなロックンロールパーティ、オルタナティブなロックシーンからオールジャンルのフェスまでに活動の幅を広げながら、プロップスを高め続けている。
そんな彼らが1stフルアルバム『暴動クラブ』を完成させた。プロデューサーにTHE NEATBEATSの眞鍋“Mr.PAN”崇を迎え、彼の所有するアナログ機材オンリーのスタジオ、Grand-Frog Studioでの一発録りを決行。50年代、60年代のロックンロールやR&B、ガレージロックやパンクといった自らのルーツへの愛とクリエイティビティが相まって未来を示す、新たなムーブメントの誕生を予感させる作品に仕上がっている。
今回はバンドのアティチュードや作品に込めた想いについてメンバー全員にインタビュー。それぞれの想いのケミストリーという、バンドだからこそのエネルギッシュな魅力が浮かび上がる。
※この記事は2024年8月25日(日)に発行予定の「bounce vol.489」に掲載される記事の拡大版です
同級生にロックンロール好きなんていなかった
――暴動クラブはお互いのどこにシンパシーを感じて結成されたのですか?
マツシマライズ(ギター)「高校に入って軽音楽部に入部した時に、自己紹介で〈THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが好きだ〉って言ったんですけど、周りにはミッシェルはおろか、ロックンロールが好きだっていうヤツがいなくて。そんな中で唯一、鈴木だけがミック・ジャガーが好きって言ってたから声を掛けたんですけど……」
鈴木壱歩(ドラムス)「ミックのソロを聴いて〈カッコいいな〉と思って」
マツシマ「で、ちょっとでもロックが好きならとにかくバンドを組もうと誘って。そのバンドでは、鈴木が何を好きかは一切関係なく、ひたすらミッシェルをコピーしてました」
鈴木「中学の時は吹奏楽をやっていて、最初に好きになったバンドはTOTOでした。演奏が綺麗で整った感じの音楽が好きだったんですよね。ミッシェルって、それとは正反対のサウンドじゃないですか。だから、やり始めた頃は〈よくわかんねえな〉って思いながら叩いてたんですけど(笑)、やっていくうちにどんどんハマっていきました」
城戸“ROSIE”ヒナコ(ベース)「私は幼少期から70年代や80年代のハードロックを聴いて育ち、高校に入ってシーナ&ザ・ロケッツやTHE ROOSTERSといった、いわゆるめんたいロックにハマりました。そんな感じだったから、同時代のポップスなどを聴いている周りの友達とは趣味が合わなくて。軽音部であいみょんの話をされても、私はまったく知らなかったんです(笑)。
そんな中で、2人がロックンロールバンドをやっていることは知っていたので、よくライブを観にいってました」
マツシマ「ある時、旧Twitter、現Xでバンドメンバーを募集したら、城戸からめちゃくちゃ長文のDMがきたんです。5スクロールくらいの(笑)」
城戸「同世代の仲間とバンドを組めていることがうらやましくて、熱くなっちゃいました(笑)」
――そしてフロントマンの釘屋さんとの出会いがあり、暴動クラブがスタートした。
釘屋玄(ボーカル)「3人とバンドをやることになった経緯はあんまり覚えてないんですよ。〈入りたい〉って言ったことも記憶にないから、成り行きですね。僕はもともとモッズカルチャーが好きで、ザ・ジャムみたいなバンドをやっていて、そのあとにはザ・ダイナマイツみたいな、グループサウンズの中でもガレージっぽいバンドを組んで活動していました」