「ロック・イン・オポジション・フェスティバル・ジャパン 第一回」か…このイヴェント名だけで、言いようのない感慨にひたってしまう年季の入ったプログレッシヴ・ロック・ファンは少なくないはず。
日本の前衛ロック・ファンの間では80年代から、一種独特の敬意と畏怖の念を伴って使われてきた「レコメン系」というターム。これはヘンリー・カウのクリス・カトラーが設立した自主レーベル「Recommended Records」関係及びその流れを汲んだ前衛/実験系ロックのことだが、その「レコメン系」を中心にした国際的な前衛ロック連帯運動が「Rock in Opposition=RiO」(通称「反対派ロック」)である。カトラーの政治思想(左翼)が極めて明確なため、「RiO」も反体制的政治運動体とみなされがちだったが、78年に第一回目の「RiOフェス」がイギリスで開催された時にカトラーが掲げていたスローガンは、「大手レコード会社が一般人に聴かせたがらない音楽を広く紹介する」というシンプルなものだった。つまり「RiO」の「Opposition」は元々「大手レコード会社への対抗」という意味であり、換言すれば、インディペンデントということである。
プログレ/前衛ロックが、若いリスナーの間でも新しい音楽として熱い注目を浴びる昨今。あるいは、個々のミュージシャンがアルバムを自主制作し、ネットワークを駆使して情報や作品をリスナーに届けるという状況が当たり前になった現在。そんな時代だからこそ、“良質な音楽のインディペンデント性”をひたすら追求してきた「RiO」の理念を具現化したフェスが日本でも開催されてしかるべきなのである。ちなみに、今回の日本でのフェス、「東京芸術文化創造発信助成対象事業」として、公的サポートも受けている。時代は変わったものだ。
今回参加するのは、二日間で計10ユニット。「RiO」総帥クリス・カトラーのアルトー・ビーツ(イギリス)を筆頭に、ピッキオ・ダル・ポッツォ(イタリア)、リシャール・ピナス(フランス)、プレザン(ベルギー)、アラニス(同)、マッツ/モルガン(スウェーデン)と外国勢が6組。迎え撃つ日本勢は、高円寺百景、る*しろう、ハッピー・ファミリー、空:ラーシュ・ホルメルズ・グローバル・ホーム・プロジェクトという4組。この小さなスペースでは個々の音楽性に関する詳しい紹介などとても無理なので、読者各々ネットでチェックしてもらいたいが、ユルいもの、ヤワなもの、中途半端なものはただの一つもない。文句のつけようがない素晴らしいプログラム。企画者たちの本気度がよくわかる。まずはこの一回目を成功させ、次につなげなくては。
LIVE INFORMATION
ロック・イン・オポジション・ジャパン2014
○11/15(土)16(日)15:00開演
会場:TSUTAYA O-EAST
出演:
[15日]ピッキオ・ダル・ポッツォ/高円寺百景/リシャール・ピナス/る*しろう/アルトー・ビーツ
[16日]プレザン/マッツ・モルガン バンド/空 ラーシュ・ホルメルズ・グローバル・ホーム・プロジェクト/ハッピー・ファミリー/アラニス