トッド・ラングレンのジャパンツアー〈Billboard Live presents Todd Rundgren Japan Tour 2026〉が、2026年3月に東京と大阪で開催される。今年の春に12年ぶりとなるビルボードライブ公演を行ったばかりのトッドだが、早くも日本の地へ戻ってきてくれるとあって歓喜している人も多いはず。偉大なキャリアを持つ彼の新たな来日ツアーに向けて、ライターのZ11にセットリストなどを予想してもらった。 *Mikiki編集部


 

ヒット曲だけに頼らない、意欲的なセットリストに期待

〈またトッド・ラングレンが日本に来る!〉と聞いて、あきれるファンは一人もいないだろう。むしろ、この頻繁な来日こそが、現在の彼がいかに充実した音楽活動を続けているかの証左でもある。

2025年が終わりを迎えようとしている今、早くも2026年に向けた嬉しいニュースが飛び込んできた。今年の2月から3月にかけてビルボードライブ公演を行ったばかりのトッドが、新たな来日公演の開催を発表したのだ。今回の来日ツアーは、東京はNHKホール、大阪はZepp Nambaで開催される。

トッドのライブといえば、パフォーマンスそのものはもちろん、毎回ファンの期待を良い意味で裏切るセットリストにも注目が集まる。近年の彼は自身の膨大なディスコグラフィを自在に行き来し、〈今現在のトッド・ラングレン〉を表現することに余念がないように思える。ここでは、彼が直近で行ったライブの内容などを分析しつつ、来年3月の日本公演で披露されるであろう楽曲を予想してみたい。

まず注目すべきは、彼を支えるバンドメンバーだ。今回のツアーには、長年の盟友でありユートピアの同志でもあるカシム・サルトン(ベース/ボーカル)が名を連ねているほか、ザ・チューブスやジェファーソン・スターシップでの活動でも知られるプレイリー・プリンス(ドラムス)や、ボビー・ストリックランド(ブラス/ボーカル)、ギル・アサヤス(キーボード/ボーカル)、ブルース・マクダニエル(ギター/ボーカル)という鉄壁の布陣が顔を揃えている。

このメンバー構成からわかることは、分厚いコーラスワークと緻密なアンサンブルが必要な楽曲、つまりはユートピア時代のナンバーやプロダクションが凝ったソロ楽曲の再現に力を入れている、ということである。それは直近の北米ツアーのセットリストを確認してみても、往年のヒット曲だけに頼らない、非常に意欲的な選曲がなされていることからも明らかだ。

例えば、近年は2004年のアルバム『Liars』から“Sweet”や“God Said”、あるいは『The Individualist』(1995年)から“Woman’s World”といったコアなファンも唸るような楽曲が取り上げられている。これらは単なるノスタルジーではなく、現代的なサウンドへのアップデートを繰り返してきたトッドの〈現在進行形の姿〉を強調しているようなチョイスとも言えるだろう。

もちろん、ユートピア好きのファンへのサービスも忘れてはいない。“Secret Society”や“Rock Love”といったナンバーが最近のセットリストにはしっかりと組み込まれている。特にカシムがいる今回の日本ツアーでは、これらの楽曲がよりオリジナルに近い、あるいはそれ以上の強度で演奏されるに違いない。