なんでこの映画のDVDがないかな!
そんな声に誠心誠意お応えする20世紀フォックスのリクエスト・ライブラリーも第7弾、かれこれ5年目だという。まず、リクエスト・ライブラリーのシステムを順を追って説明しよう。
(1)リクエスト・ライブラリーのHP内にあるリクエスト欄にDVD化して欲しいタイトルを入力して送信(あるいは葉書や封書も可)。
(2)リクエストしたタイトルが20世紀フォックス&MGMの権利作品かを調査。
(3)20世紀フォックス&MGM作品に絞ったものから、日本で発売されていないかを調査(権利が売られてる場合多し)。
(4)日本での発売権を調査。
(5)USでのDVD化の実績を調査(DVD化されていればマスターが存在するのでより発売しやすい)。
(6)担当者が企画書を作りUS本社を説得。本社の「お白洲」の結果、生き残ったものがリクエスト・ライブラリーとしてリリースされる。
以上の「棘の道」を通り抜けリリースまでに実に一年を要するという。
今までのラインナップを見て気づくことは「これがDVD化していないなんておかしい」というタイトルと「未DVD化もなんとなく分かるが傑作だからDVD化すべきだ」というタイトルと「これをDVD化するのかー!」というタイトルと大きく3つに分かれる点だ。むろん、最終的には主観的な問題になるのは言わずもがなだが、ひとつ言えるのは、このラインナップ全てをリクエストする人間は存在しないんじゃないか?ということである。
例えば、マックィーン主演の『華麗なる賭け』が未DVD化などあり得ないし、フライシャーの『絞殺魔』という傑作がDVD化され多くの人間に見てほしいと思うだろう。この映画はDVD化されなければならない。裏を返せば、これほど便利になった世の中でも、見ることのできない映画はたくさんあるのだ、ということである。
どころが、同じ流れで『グローイング・アップ』のお色気青春映画が存在するところに、この企画の面白さがある。このチョイスは、リクエスト形式でなくては絶対に出てこないものだ。
『華麗なる賭け』も『絞殺魔』も、まさか『グローイング・アップ』と肩を並べる日が来るとは思わなかったに違いない。こう書き綴りながら『グローイング・アップ』を無性に見直したくなってしまうところが映画の不敵さだ。この感覚は、民放のテレビが雑多な映画をよく流していた時代をどこか思い起こさせる。『華麗なる賭け』も見た。『グローイング・アップ』も見た。選択の余地なく、テレビが映画館だった時代の精神が息づいているかもしれない。
第7弾では、16タイトルがリリースされる。中でも、リクエスト一番人気が『地獄と高潮』である。ゴダールの『気狂いピエロ』の中のパーティーシーンで画面に向かって「映画とはエモーションだ」と呟いていた男、サミュエル・フラーの海洋アクション映画。東西冷戦を背景に、原爆を隠し持つ某共産国(笑)と対決するために廃棄されていた旧日本軍の潜水艦を駆使して戦うというお話。リチャード・ウィドマークの艦長がひたすらカッコいいのがフラーだし、当時としては最新鋭の特撮と潜水艦ものとしてのサスペンス描写が実に秀逸な傑作である。
同日には、トラボルタ、ニュートン=ジョンの『グリース』コンビの『セカンド・チャンス』が。そしてそして、高島忠夫の解説が懐かしいゴールデン洋画劇場の常連作品! マシュー・プロデリックと本物のチンパンジーの友情! 『飛べ、バージル/プロジェクトX』!!! ヘレン・ハントが出ていたことを忘れてしまった人にもお勧めだ。
DVD化のリクエストは現在も受付中。1年後のDVD化を夢見て走れ!
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