交響曲の初演を大成功させたフルトヴェングラーはベルリン・フィルからどのような響きを生み出しただろうか。ケーゲルがドレスデン・フィルと表象する無色平明な音響に注意深く埋蔵した抑圧への畏怖。それは“聖アントニウスの誘惑”において、無慈悲に圧殺する顔のない何者かの不穏な振舞いのように噴出する。その黙示録的終末感をケーゲルはあくまで冷徹に描出した。その設計は、“気高い幻想”のパッサカリアで圧倒する分厚い音響構築とは位相の異なるものと思える。スウィトナーがシュターツカペレ・ドレスデンの銀光色の金管を駆使する“交響的変容”を併録、スティッケルのマスタリングで味わう出色のヒンデミット傑作集!