スウィトナーが41歳にして初演オケのシュターツカペレ・ドレスデンと録音した「サロメ」は、名高いサロメ歌いのゴルツを始めとする歌手たちもさることながら、ドレスデンの管弦楽の魅力が横溢する。作曲家ならではのイディオムの数々を俊敏に表現するソロ、音響の裂け目で打ち込まれる深く強い管の響きはまさにドレスデンのもの。不穏や退廃の趣の根底に秘められているのは美への憧憬にほかならない。若きスウィトナーはシュトラウスからも賛辞を受け、名高いシュトラウス指揮者だったクレメンス・クラウスの薫陶を受けた。この「サロメ」はそういった系譜をも表象する重要盤。高音質化によって最上の形で聴けるのはまたとない喜びだ。