絶大な人気を誇る米メリーランド出身のシンガー・ソングライター。前作『Chloë And The Next 20th Century』(2022年)はジャズやカントリーの影響を感じさせるノスタルジックな内容に驚かされたが、この6作目ではその雰囲気を残してブルージーな感覚を加えつつ、本来のフォーキーな音楽性に回帰。いままで以上にピュアでエモーショナルなメロディーと歌声に加え、前作に続いて参加したドリュー・エリクソン(ラナ・デル・レイなど)によるストリングスとホーンを多用した華麗なアレンジも素晴らしく、作品全体にこれまでにはない筋の通った力強さがある。彼の持つ繊細さとダイナミックさが同居した傑作だ。