彼女が掲げるサッドコアの世界観を大時代的なバラードに落とし込んだ9枚目のアルバムは、全16曲77分超えの大作に。グラミー受賞アーティスト、ジョン・バティステら豪華ゲストが多数参加という話題もさることながら、あまりにも濃厚な円熟の境地はもはや圧倒的。ストリングスに加え、ゴスペルを思わせるコーラスも使った序盤。ラップ・パートも含む7分超えの“A&W”を境にピアノ・バラードの並ぶ中盤。そしてSYMLとの“Paris, Texas”からの終盤はファーザー・ジョン・ミスティ、ブリーチャーズらとのデュエットで一気に盛り上げる。そんな構成も含め、アルバム然とした作風もじっくりと味わいたい。