Suchmosの河西“YONCE”洋介を中心とする5人組の初フル・アルバム。昨年の初EP『2000JPY』で示したブルージーなムードを基調としながら、90sオルタナやファンク、ディスコ、オルタナ・カントリーといった要素を楽曲ごとに配合し、ヴァラエティと奥行きに富んだロック・アルバムをものしている。ライヴ映えするだろうダイナミックなアンサンブルを鳴らす一方で、楽曲の軸には巧みに練られたソングライティングが据えられており、完成度も高い。全編に漲るロマンティシズムにはどこか浮世離れしたものを感じるのだが、その寄る辺のない在りようが未知のポテンシャルを示しているように思える。